【袴田さん再審】58年の闘いで「無罪判決」そのとき 巌さん 支援者らは…“運命の一日”ドキュメント(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ)
26日 朝、浜松市。袴田巌さんと姉・ひで子さんは運命の一日を迎えました。 自宅では、朝食を食べる巌さんに、ひで子さんがマッサージをしていました。ひで子さんが、この日に選んだ服装は白いジャケット。「潔白」の「白」だということです。 午前10時半ごろ。ひで子さんが家を出て静岡地裁へと向かう前に、心境を語ります。 (袴田巌さんの姉 ひで子さん・91歳) 「まぁまぁ平常心でございます。常々、私は、そう申し上げておりますが、平常心でございます」 Q.あらためてどんな判決を期待するか 「もちろん無罪を期待しているが、裁判ですから出てみなきゃ分からん」「巌は起きて食事を済ませて、今くつろいでおりました。『静岡行ってくるでね、晩に帰ってくるよ』と言ったら『はい』と言っていた」 静岡地裁の周辺では、午前9時前から、袴田さんの支援者や報道陣など多くの人が集まっていました。約30年に渡り袴田さんを支援してきた山崎俊樹さんは…。 (袴田さんの支援者 山崎俊樹さん) 「あまり考えなかったです。長いようで短かったような気持ちもあります。ただし、やはり長かったですね」 Q.この日を迎えてどうですか 「あの…やっと、この日を迎えられたと、そういうふうな思いです」 Q.どういうことを望んでいる 「それは、捜査関係者のねつ造も含めて無罪判決。それ以外にない」 長年、支えてきた人もいれば、中には若い支援者も。 (袴田さんの支援者 中川 真緒さん) 「もともと清水出身で、地元の事件ということで知って」「ブログやSNSで発信をしたりとか支援をしてきた」「一刻も早く袴田巌さんに確定無罪が訪れることを願っています」 また、地裁の前では、日弁連が「再審法改正」の のぼり旗を掲げていました。その中には、静岡地裁の元裁判官で、袴田さんの釈放と再審開始を認めた、村山浩昭弁護士の姿も。 (静岡地裁の元裁判官 村山 浩昭 弁護士) 「無罪になっても本当に長すぎですよね、死刑囚として過ごした期間が長いわけですから、何とも言えないといいますか、筆舌に尽くし難いものがある(言葉では表せない)**** そして、午前9時半ごろには…。 (記者) 「裁判の傍聴を求めて既に多くの人が列をつくって、整理券の交付を待っているのが確認できます」 静岡地裁によりますと、一般の傍聴席40席を求めて、訪れたのは502人。倍率は12.6倍と市民の高さがうかがえます。 (沼津市から) 「その場に立ち会えるとうれしいなと思うんですが、大勢集まることが袴田さんに対して応援になるかなと思って」 (静岡市から) 「最近のニュースを見て、でっちあげだなと」 (神奈川県から) 「ずっと袴田さんの事件追っていまして無実を確信しております」 (島田 悠以 記者) 「午前11時前です。傍聴席の抽選結果発表を前にして、抽選券を持った人が次々と集まってきています」 抽選の結果が張り出されました。 (傍聴席が当たった人) 「当たっていました。よかったです。なかなかこういう経験はできない」 (傍聴希望者) 「当たった?よかったじゃんすごいね」 その中には、凶器の「くり小刀」を販売したとされる店の息子、高橋国明さんも。 (高橋 国明さん) 「判決公判に当たって本当によかった。法廷で判決を注視したいという思いで傍聴に臨みます」 そして、午後1時過ぎ。地裁前の沿道には、多くの人たちが。 (杉本 汐音 記者) 「このあと静岡地裁で午後2時から歴史的な判断が下されます」「ことし1月には弁護団長の西嶋弁護士が亡くなりました。ひで子さんの手元には、その西嶋元弁護団長の写真があります。静岡地裁前は多くの支援者や報道陣が集まり緊張感と熱気につつまれています」 出廷を免除されている袴田巌さんに代わり判決に臨む、ひで子さん。 裁判は午後2時に開廷しました。数分後、その時が、訪れます。 (片山 諒 記者) 「無罪です。無罪が今言い渡されました…先ほど静岡地裁で午後2時から始まった袴田巌さんの判決ですが、裁判長から無罪が言い渡されました」 (袴田さんの支援者) 「第一テレビの情報では無罪。ただいま無罪判決が出たという報道が流れました。無罪判決バンザイ!巌さん、ひで子さん、無罪判決おめでとうございます」 (袴田さんの支援者 山崎俊樹さん) 「もう、素直にうれしいということだけ。検察官に控訴しないでほしい。その願いだけ」「やっとわれわれの願いがかなった。願いと言うのは袴田さんが逮捕直後から訴えてきたこと。58年を経てやっとかなった。うれしくていっぱいです」 (静岡地裁の元裁判官 村山 浩昭 弁護士) 「無罪らしくて、よかったです」「長かったですね、 ホッとしました」「やっぱり袴田さんとひで子さんにはゆっくり休んでいただきたい。検察は控訴しちゃいけない。そんなことしたら非難ごうごうですよ本当に」 無罪判決が出たとき、袴田巌さんは浜松市の自宅で過ごしていました。 (袴田巌さんの自宅) 「巌さん、いいことがあったって、いま連絡がきました」 ひで子さんによると、本人に詳しい判決内容を伝えるタイミングは、顔色を見て決めるということです。