「前世の記憶」をもつ人々、研究からみえてきたそのパターンと共通点
「昏睡状態の間、前世のように感じられる出来事を少なくとも2つ経験した」
「そして、兄と私がいっしょにいる場面もあった。それが前世であることはなんとなく理解できた。そこでは、私は兄よりずっと年上で、兄にとって母親のような存在だった。現世では、彼は私より年上だ。前世で兄といっしょにいたときの人生は、文明が発展していない田舎で起きているように感じられた。時代と場所については特定できなかった」 両側性の肺炎で入院し、昏睡状態にあったデイビッド・モキンは、複数の前世について説明している。 「その間、前世のように感じられる出来事を少なくとも2つ経験した。その1つは、それまでの24年間、私を悩ませ続けてきた出来事で、飛行機事故で焼死する体験だ。それから何年もたってから、ある霊能者が、私は前世で、1944年11月上旬の奇数日、戦闘機の着陸時に死んだと告げた。私は1944年12月21日生まれだ」 「録音を聞いた娘がグーグルで検索した結果、1944年11月上旬の奇数日に亡くなった唯一のパイロットはフライヤー大尉という人物で、『P-51マスタング』の着陸に失敗して炎上したことがわかった。私の好きな飛行機は常にP-51だった。私の机に模型が置かれている。娘にいくつか質問されたが、私は空軍の司令官、飛行隊の司令官、両親の名前を知っているようだった」 2. 前世の記憶を持つ人には、興味深い共通点がある Exploreに掲載された研究論文には、こう書かれている。「前世の記憶とされるものの研究は重要な証拠を提示しているが、これらの記憶の説明については多くの論争がある。子どもの空想、詐欺、生まれ変わりを信じる家族の社会心理学的ニーズ、記憶の遺伝、超感覚的知覚、クリプトムネシア(忘れていたことを思い出し、新しいことを思い付いたと勘違いすること)、記憶錯誤、憑依などだ」
生まれ変わりや来世を信じることに、死に対する不安を軽減している可能性
『Psychology and Psychotherapy』に発表された研究で、前世の記憶を持つ子どもたちの心理学的特性を調べた結果、そのような記憶を持たない子どもたちに比べて、空想や、注目を集めること、解離のスコアが高かったが、暗示にかかりやすい傾向はなかった。子どもたちが経験していた解離的傾向も、臨床的に懸念されるレベルではなかった。 また、『Journal of Scientific Exploration』に発表された研究では、前世の記憶があると主張する成人42人を調べた。前世の記憶が残っていても、ほとんどの人は、その記憶からおおむねポジティブまたはニュートラルな影響を受けており、幸福で、生産的で、健康的な普通の生活を送っていることがわかった。 例えば、42人のうち約半数は、前世の記憶のおかげで、生まれ変わりを信じる気持ちが強くなり、他者とのつながりを感じられるようになったと報告している。 しかし、前世の話を聞きたがる人々からの過剰な注目、幼少期のからかいなど、困難を経験した人もいる。また、前世と関係があると思われる恐怖症による苦悩も報告されている。ほとんどの人は、前世より現世の生活を好んでいた。 興味深いことに、生まれ変わりや来世を信じることが、死に対する不安を軽減している可能性がある。 2024年11月に発表された前世に関する研究に参加した26歳の人物は、こう説明している。「子どものころ、曽祖父母、祖父母、義理の祖父母を失った。彼らはいずれ戻ってくる、と理解し始めたことで、そのショックが和らいだ。彼らは(現在の人生の)最後で苦しむかもしれないが、新しい始まりがあるのかもしれない」 前世の記憶が、生まれ変わりによるものか、想像豊かな心が生み出したものか、あるいは、その中間かにかかわらず、それは私たちの信念や生き方をつくり変える可能性がある。過去を垣間見るこうした体験は、興味をそそられると同時に不可解でもあり、記憶、意識、人間の存在の本質に深い問いを投げかけている。 (forbes.com 原文)
Mark Travers