「ゴルフは道草や」創意工夫や紆余曲折を繰り返し辿り着いた身の丈に合ったスウィングとは【“甦る伝説”杉原輝雄の箴言集④】
人として「偉く」なれ
ーー「試合で優勝することは素晴らしいことなんやけど、人間として“偉い”は別なんや」 ボクは挨拶いうんが、人としてのマナーの基本や思うています。それは人との接するための潤滑油であり、同時に自分が気持ちよくなるための方法でもあるんですよ。朝、目覚めたら、まず家族へ「おはよう」と声をかけますやん。これはご飯つくってくれる嫁さんに感謝の気持ちもありますが、同時に自分が声出すことで、気分よくなる方法でもあるんです。自宅近くを走りに出てや、人に会い一言挨拶して笑顔でももらおうものなら、気分よく走れるではないですか。 試合に出てクラブハウスでも、挨拶できないプロもいます。ボクは気づいた時点で、本人ではなしにグループならそのリーダーに注意もします。たった一言の挨拶でお互い気分よくなるこんな便利なことをなぜ使わんのか、と。若い、ボクなど知らないプロなどは恥ずかしい気持ちもあるかもしれません。しかし、プロである以上、人前に出る商売、そんなことはいってられません。 もうひとつ、サインの問題や。人気選手、優勝回数の多い選手にファンからのサインが多くなるのは当たり前のこと。ところが、強くなるに従って、天狗になるというか、サインを無視する選手もいるんです。一体、誰のおかげでメシを食わせてもらっているんやといいたい。ファンがあってこそ、スポンサーもつき、トーナメントが開催されているわけですやろ。試合がなければ、ただ陽に焼けたオヤジです。もし忙しい時なら、いちばん前の一人にサインし、また後でねいうのがマナーでしょう。ゴルファーとして優れてるのにやね、人として優れていないことが例に多すぎて困ったことです。 文/古川正則(ゴルフダイジェスト特別編集委員)
みんゴル取材班