仕事の無理難題「できる」に変える2つのステップ 「原価半減プロジェクト」成し遂げた筆者が伝授
つまり、極端な制約条件とは見方を変えれば、ブレイクスルーを引き起こして成功に導く「成功の条件」でもあるのです。 ■厳しい制約条件を成功条件に変える トヨタは創業時からアメリカとの技術格差、新たな法規制、為替変動など、厳しく絶望的とも思えるような制約条件のなかで革新を生んできました。そうした経験があればこそといえるのですが、ときにわざと極端な制約条件を設定して、意図的に革新を生み出そうとします。 それが、「原価半減プロジェクト」だったといえるかもしれせん。
ところで、どうやって自動車部品の原価を半減したのでしょうか。ボーッと自動車部品を眺めているだけでは、原価を半分にする方法は見えてきません。そこで、その自動車部品の構造を細分化し、それぞれの部品ごとに製造原価を引き下げられないかを確認していきました。 機械部品であれば分解して、さらに構成部品レベルに落とし込んで、徹底的に何にいくらかかっているかを把握したのです。 そのうえで、「どうしたらカイゼンできるか?」を必死に議論しました。他業界の工夫や日常生活でのヒントはないかもよく考えました。
例えば、「日常生活のなかで、食事をつくる際に『八宝菜の素』といった“合わせ調味料”に頼ることがある。これを使えば簡単においしいおかずができて便利。しかし、じつは市販の調味料を自分で買い揃えて調合したほうが、圧倒的にコストは安い。しかも、調味料を調合するのはそんなに手間がかからないし、ノウハウもいらない。これと似たようなケースで、コストダウンができないだろうか」などなど。 このような発想や取り組みを積み重ね、当初は不可能と思われていた製造原価の半減に成功しました。この原価半減プロジェクトは、自ら極端な条件を設定し、新たな発想を生み出し、ブレイクスルーを引き起こした事例とも考えることができるでしょう。
できない理由や制約条件が、新たな発想やブレイクスルーのヒントとなり、成功条件に置き換わることが多々あります。 制約条件の力を借りるために、原価半減プロジェクトのように、自ら極端な条件を設定することで、新たな発想を生み出し、ブレイクスルーを引き起こしていきましょう。 ■極端な制約条件を設定するコツ 限界や常識の枠を取り払う「問いかけ」を自らにしてみるといいでしょう。 例えば、 ・大胆な問いかけ= 「原価を半減させるとしたら?」