「本当は起用したい」けど…秋ドラマに「STARTO」アイドルが主演ではなく、2番手出演する「テレビ業界の本音」
「非はない」「恩恵を受けた」の両論
最後にもう1つあげておきたいのは、STARTO所属タレント個人に対するテレビマンたちの本音。彼らは旧ジャニーズ事務所時代に所属タレントと接してきたため、「そもそも本人たちに非はない」という見方のスタッフが少なくない。もちろん個人差はあるが、礼儀正しさや地道な努力を称える声も多く、「また一緒に仕事がしたい」「力になってあげたい」という人もいる。 ただその一方で旧ジャニーズ事務所に「形に残さない圧力で忖度を余儀なくされた」ことをはっきり覚えていて、「これからは実力優先でオファーしていきたい」と言うテレビマンも少なくない。実際、一年前の謝罪会見以降、「これまで実力以上の恩恵を受けていたから、これからは本当の実力が問われる」というシビアな声を何度も聞いていた。本当に彼らの人気に頼らず実力優先を貫けるのなら、来年のキャスティングに表れるだろう。 それでも放送時間が深夜帯となれば話は別で、「主演をやってもらいたい」というのがテレビマンたちの本音。今秋もtimelesz・菊池風磨が『私たちが恋する理由』(テレビ朝日系、土曜23時)、NEWS・小山慶一郎が『高杉さん家のおべんとう』(日本テレビ系、水曜24時29分)、Aぇ!group・佐野晶哉が『離婚後夜』(テレビ朝日系、土曜26時30分)で主演を務めている。 その理由は、深夜帯でも一定の視聴率を稼ぎ、安定した配信再生数が期待できるから。やはりSTARTOの所属タレントはファンたちの“推す力”が強いため、実績の面で大失敗に終わるリスクが低い。「だからSTARTOとは他の事務所以上に円満な関係性を保っていきたい」と考えるのは、どの業界でも商習慣上、当然のことだろう。 2番手ポジションや深夜帯での起用を見る限り、現時点における各局とSTARTOの関係性は正常なものに見える。
木村 隆志(コラムニスト/コンサルタント)