「本当は起用したい」けど…秋ドラマに「STARTO」アイドルが主演ではなく、2番手出演する「テレビ業界の本音」
業界で評価されるファンへの影響力
謝罪会見が行われた1年前、すでにキャスティング済みの2024年冬・春・夏ドラマはさておき、「秋ドラマにSTARTOの所属タレントを新規起用しない」という判断もできたはずだが、民放各局はそれをしなかった。 選ばれたのは、SixTONES、なにわ男子、Kis-My-Ft2、Snow Manという各グループから、ジェシー(28歳)、大橋和也(27歳)、玉森裕太(34歳)、深澤辰哉(32歳)というアラサーの若手。しかも「本人と制作サイドの両方が批判を受けやすい主演ではなく、出演シーンが多い割に矢面に立たなくて済む2番手ポジションで彼らのファンを引きつけたい」という一致した狙いが見て取れる。 各局のテレビマンがほぼ一致しているのが、「ファンへの影響力」に対する評価の高さ。多くのスポンサーが重視するコア層(主に13~49歳)の個人視聴率を上げるだけでなく、配信でのリピート再生、XなどSNSの動きなどは他事務所のタレントを大きくしのぐとみられている。 特にSnow Manのファンへの影響力に対する評価は高く、「メンバーをどの作品のどの役柄でキャスティングしていくか」は課題の1つ。この点はSTARTOへの忖度ではなく、「純粋に数字を狙っている」と言っていいだろう。そんな姿勢は今秋のドラマにも表れている。 『わたしの宝物』のメインは松本若菜(40歳)、田中圭(40歳)、Snow Man・深澤辰哉(32歳)の3人だが、8歳の年齢差に加えて、俳優としてのキャリアの差は大きい。松本と田中はドラマ出演だけで優に100作を超えているが、深澤はまだ10作に満たない段階。深澤に非がなく懸命に挑んでいることはわかっていても、2人と三角関係で渡り合うことに違和感を訴えたくなるのは仕方がないだろう。
民放が起用したい若手4グループ
ただ、深澤には「数字で貢献できる」という武器があり、それは放送収入減に悩まされる現在のテレビ業界にとって極めて重要なものと言える。たとえ深澤やSnow Manのファン以外には不評だったとしても、一定の数字を得られたらビジネスとしては「OK」であり、次の番組制作につなげられるからだ。 同様に『モンスター』のSixTONES・ジェシーも“弁護士ドラマ”というジャンルの堅さを和らげ、ファンへの影響力で数字を獲ることが期待されている。たとえば、主演の趣里とコンビを組むのが若手の専業俳優だったら、もう少し作品全体のイメージが堅く、SNSでの話題性も低かったのではないか。 現在テレビマンが起用したいSTARTOのグループは、主にSnow Man、SixTONES、なにわ男子、さらに今秋はドラマ出演こそないがKing & Princeあたりの若手とみられている。しかし、「ゴールデン・プライムタイムで主演を担えるメンバーはまだほとんどいない」「現段階では目黒蓮くらいで、永瀬廉と道枝駿介は少し早かった」というのが現実的な評価だ。 現時点で主演に起用されるケースが多いのは、木村拓哉、井ノ原快彦、亀梨和也、山田涼介、中島健人、菊池風磨あたりに留まっている。それでも若手グループの影響力は年々増しているだけに、「2~3番手のポジションで数字に貢献してもらいながら、認知度と経験を積み上げてもらえたら」というのが本音だろう。 現在はSMAPや嵐のメンバーが主演を務め続けた時期からの過渡期。さらに昨年の騒動を受けて抜てきがしづらい状況下にあるだけに、しばらくは主演というより若手グループからの2番手起用が続いていくのかもしれない。