「本当は起用したい」けど…秋ドラマに「STARTO」アイドルが主演ではなく、2番手出演する「テレビ業界の本音」
謝罪会見から1年後の主演オファー
やはり「謝罪会見から1年」というタイミングの関連は少なからずあるだろう。 ドラマのキャスティングはプロデューサーにとって重要な仕事であるとともに、その難しさが増している。2020年代に入ったころから配信再生の稼ぎ頭としてドラマ枠が増え、動画配信サービスでもオリジナル作品が増える一方。さらにコロナ禍の撮影中断などを経たことでキャスティング時期の前倒しが進んだ。 特に視聴率や配信再生が獲得できそうな俳優は競争率が高く、もちろん企画内容やスタッフの顔ぶれは重要だが、「キャスティングは早いもの勝ちになった」と言うプロデューサーもいる。そんな背景の中、昨年9月に旧ジャニーズ事務所の謝罪会見が行われ、スポンサーの起用見送りなどもあって「しばらくはオファーしづらい」という現場の声を何度か聞いた。 少なくともあの段階では「1年後の主演に起用するのは相当な理由がない限り難しい」というムードがあった。そのため春ドラマ以降あたりから助演も含め、「他事務所の若手俳優を積極的に起用しよう」という動きが目立っている。 事実、今秋を見ても、『嘘解きレトリック』(フジテレビ系、月曜21時)でフォスターの鈴鹿央士(24歳)、『オクラ~迷宮入り事件捜査~』(フジテレビ系、火曜21時)でトップコートの杉野遥亮(29歳)、『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』(日本テレビ系、土曜22時)で研音の竜星涼(31歳)が主演を務めている。 さらに前期の夏ドラマでも、『マウンテンドクター』(カンテレ・フジテレビ系、月曜22時)で杉野遥亮、『降り積もれ孤独な死よ』(日本テレビ系、日曜22時30分)でソニー・ミュージックアーティスツの成田凌(30歳)、また、『南くんが恋人!?』(テレビ朝日、火曜21時)のLDH・八木勇征(27歳)も事実上のダブル主演と言っていいだろう。 いずれにしても「今回の騒動をきっかけに、ジャニーズ優先だったキャスティングを変えていこう」というムードがあったことは確かだ。その背景に「事務所の力やアイドルとしての人気優先ではなく、実力とのバランスで選びたい」というクリエイターの矜持を取り戻したかのようなムードがあったことも付け加えておきたい。