激動の日産に希望あり!!! メカニックやエンジニアの卵が奮闘 日産自動車大学校が挑む「2つの競技」の意義
■ガチな先進技術を競う「学生フォーミュラ」
近年、大きな話題を呼んでいる学生フォーミュラ。BEVを自作し、耐久性などを競う競技だ。日産といえばリーフやアリアなどBEVではかなり先行したイメージがあるのだが、学生フォーミュラではまだまだ新参者だという。 「2019年からの参戦になります。日産といえばEVというイメージを持っている人も多いので、私たちも看板を背負っている感じはあります」と学生は語る。 いくら整備学校の学生とはいえ、整備ではなく「クルマ作り」をするノウハウは学んでいない。メーカー直系校として、しかも「電気の日産」として負けるわけにはいかないという自負もあるだろう。 「今は初代リーフのモーターを使っています。本当はサクラのモーターユニットが欲しいのですが、日産の規定もありいまは使えないんです。それでも制約のあるなかで工夫するのが学生フォーミュラですし、そこが楽しいんです」。 バッテリーボックスに空冷用ファンを取り付けたり、フレーム溶接での強度確保、バッテリーの直列並びの工夫……。その苦労はかなりのもの。文系の編集部員からすればチンプンカンプンな配線図を睨めっこしながら作業をする学生たちの顔が凛々しかった。 日産はたしかに大変な事態に陥ってしまった。けれど、必ずしや復活する。90年にわたり日本の自動車業界に燦然と輝いてきた日産の歴史は消えないけれど、確実に継承していく人間が必要だ。 「技術的なこともそうですが、やっぱり人を見ることをたくさん学んだ。誰が、どこで迷っていて、どんな風に背中を押せばいいのか。何を今言うべきなのか。そんな経験が学生フォーミュラで一番学んだことなんです」。そう語ってくれた学生がいた。 いい日もあれば悪い日もある。きっと上の言葉は日産で名だたる名車を作ってきたエンジニアたちも同じことを回想しただろう。人を見るクルマ作り。日産が大切にしてきたメソッドは自然発生的に受け継がれている。 日産自動車大学校の学生たちがもしかしたら伝統を継承し、それを昇華して、新たな日産の時代を築いてくれる日が来るだろう。そう期待せざるを得ないほど、学生たちの真剣な眼差しが光っていた。