「弱者に冷たい小池都政の転換を!」宇都宮健児
2020年の東京都知事選では小池百合子氏に次ぐ票数(約84万票)を集め、今回は蓮舫氏を擁立した「市民と野党の候補者選定委員」を務めた弁護士の宇都宮健児氏が小池都政の本質に迫る。 ――2024年度の東京都の予算についてお聞かせください。一般会計だけで8.5兆円にものぼります。 東京都の24年度予算は一般会計、特別会計、公営企業会計含め、16兆5584億円にのぼり、過去最大になりました。これはスウェーデンの国家予算並です。景気が上向き、都内に一極集中する大手企業の業績が上がり、法人からの税収入が伸びているのが主な要因です。そして物価が上がるということは、消費税などの税収も増えるわけです。税収も過去最大です。 【予算は福祉と雇用に】 ――小池都政は湯水のごとくカネを使っています。蓮舫氏は街頭演説で「洗いがいがある」と述べ、都政での事業仕分けに意欲を見せました。 地方自治法では、地方自治体の役割を「住民の福祉の増進」と定めています。都政の役割とは、外国人を含む都民一人ひとりの命と暮らしを守ることです。この予算が都民一人ひとりの命と暮らしを守るために適切に使われているかどうかは甚だ疑問であります。 小池都政は弱者に非常に冷たいのです。 ――蓮舫氏は「仕分けし、予算に余剰が生まれるなら福祉、雇用に回したい」と述べていましたが。 “余剰が生まれたら”ではなく、優先して福祉と雇用に予算を割かなければならないのです。 関連事業を含め、2年で48億円という大金を計上した都庁でのプロジェクションマッピングが話題になっていますが、毎週土曜日の午後、その都庁の第一本庁舎の横では、「新宿ごはんプラス」が生活困窮者に向けて食料品配布をしています。コロナ前は毎回70人ほどでしたが、いまは毎週800人近くが並んでいます。 そのほとんどが路上生活者ではなく、年金生活者、生活保護利用者、シングルマザー、非正規労働者の若者なのです。この物価高で彼らの生活がたいへん厳しくなっています。本来は都が生活困窮者に弁当や食料の配布をするべきです。あるいは、そういう支援団体を支援するべきなのに、そういうものに冷たい。この現実から目を背け、大企業ばかりに目を向け、その事業に莫大な予算をかけてきたのが小池都政なのです。 大量の樹木を伐採する明治神宮外苑の再開発問題や、日比谷公園や築地市場の再整備計画にもすべて大企業が絡んでいます。各地で地域住民による反対運動が起きていますが、小池氏にはその声に耳を傾ける姿勢が欠けています。