「視線恐怖症」による3年間のひきこもり生活からプロボクサーに「今も実戦以外では人が視線に入るとドキドキしてしまって…」30キロ減量で衝撃のビフォーアフターも
視線恐怖症と闘う、プロボクサーに
──そうした状況のなかで、他人の視線が気になる症状が出てくるのですね。医師からはどのような診断をされたのでしょうか? 医師からは、「社交不安障害」(SAD=social anxiety disorder)であると診断されています。視線恐怖症というのは、大きく3つほどの種類があるんです。 1つ目は、他人からの視線が気になるという症状です。2つ目は、自分の視線が他人に不快感を与えていると思ってしまう症状です。 そして最後に、脇見恐怖症といって、自分の視界に他人が入り込んでくることが恐怖になるんです。 ──小川選手はそれらすべての症状を経験しているのでしょうか? はい。そして、厳密には現在でも完全には克服できていないんです。 ──現在もなお闘病中なのですね。そういった症状があることで、ボクサーとして困ることはなんでしょうか? たとえば試合のように1対1で殴り合う場合、あるいは試合と同形式の練習などについては、あまり問題になりません。 しかし、脇見恐怖症の症状があるため、大きな鏡の前でジム生みんなでシャドーボクシングを行う際には、非常に気になって集中力を欠いてしまいます。人が視界に入ると、ドキドキしてしまうんです。 ──たとえばご自身の試合のときも、大勢の観客が応援にくるなどの状況が想定されますよね。 自分の試合のときには、目の前の勝利をつかもうと必死に集中しているため、気にならないです。 ただ、たとえば同門の選手が出場する試合の応援などは、周りに人が多いため駆けつけられないんです。応援したい気持ちがあるだけに、そのことが非常に悔しいです。 ──現在、プロボクサーとして活動しながらアルバイトもされているとのことですが、社会生活においては、視線恐怖症であることでどのような弊害がありますか。 以前のような接客業はできないとわかっているので、現在は清掃業に従事しています。マンションの清掃が主な仕事なので、仕事仲間や住人との密なコミュニケーションを必要とはしません。 自分に与えられた範囲の仕事をきちんとこなすことで社会の役に立てる点が合っていると思い、この仕事を選びました。ただ、稀に住人と鉢合わせることがあります。 そのとき、私は目を合わせることができないので、「挨拶の仕方に違和感を持たれたのではないか」「不愉快な思いをさせたのではないか」と考えて、苦しくなることがあります。