季節のバロメーター「立山の初冠雪」大幅に遅れる 冬の降雪量との関係は
立山の初冠雪の平年日は10月12日。2023年は同月8日、2022年は同月6日に観測されていますので、本年は大幅に遅れて11月にずれ込むことが確実となっています。「初冠雪が遅いと冬の到来も遅くなるのか?」「初冠雪が遅いとその後の冬のシーズンの降雪量にも影響するのか?」などについて見ていきたいと思います。
初冠雪とは 山頂で初めて雪が降った日と同一日になるとは限らない
以前の北陸地方では、新潟県の妙高山や金北山、石川県の高州山、福井県の野坂岳等も観測対象となっていましたが、現在は、富山県の「立山」と石川県の「白山」のみとなり、それぞれ富山地方気象台と金沢地方気象台が観測をしています。 初冠雪とは、「山麓の気象官署から見て、山頂付近が初めて積雪などで白く見える状態のこと」をいいます。 このため、初冠雪の日と山頂付近の初雪の日は、必ずしも同じ日にはなりません。今秋の立山山頂付近では、10月28日に既に今年初の雪が降ったようですが、2024年の初冠雪の発表がまだないのはこのためです。 麓で観測されるまでに、山頂付近で「降水があること」「降水が降雪となる寒気が流れ込むこと」「降雪が積雪となること」「山頂で積雪が解ける前に天気が回復して麓の気象台から観測出来ること」などいくつかのハードルがクリアされて初めて初冠雪の日となるのです。
初冠雪は年々遅れる傾向か
グラフの●印は、データのある1939年から2023年までの約80年分の初冠雪の日をプロットしたもの、青い直線はこれらの変化傾向を示したものです。(赤の点線は現在の平年日の10月12日) その中で赤い●印が2個あり、グラフの上部中央付近にあるのが、過去最も遅い観測となった1977年の11月9日。下部の中央付近にあるのが、過去最も早い観測となった1981年の9月14日です。 初冠雪の日は、1966年以降9月中旬の観測は無く、2009年以降は9月下旬の観測もありません。長期的な傾向は分かりませんが、約80年分のデータを見る限り、初冠雪は徐々に遅くなっているようです。