BEYONDの楽曲を口ずさみながら

　カークイさんの安眠の地は香港郊外にある有名墓地だ。上部にギターのレリーフがあしらわれた墓にはファンからの献花が絶えない。そんな聖地を無残に破壊した男2人が逮捕されたのは5月19日のことだった。 「犯行を撮影した映像は見るに堪えない内容でした。墓石に埋め込まれた遺影写真をハンマーでたたき割る、罵り言葉を口にしながら墓石にコーラをかける、遺影写真を舐める、供えられた花を口にくわえる、墓石にマジックで落書きするなど、坊主頭の若い男が滅茶苦茶な破壊行為をしているのです。しかもBEYONDの楽曲を口ずさむ場面もありました」 　日本の器物破損にあたる罪で逮捕された2人のうち15歳の少年はYouTuber。「社会破壊者」を自称し、映画のトークセッションで監督を罵倒したり路上のごみ箱に入ったり、飲食店で騒ぎを起こしたりと、いわゆる迷惑系である。精神的な疾患を主張しているが、一部報道によると真偽は不明だという。 　もう1人は撮影していた23歳の男。定職はあるものの、香港芸能人とのツーショットをInstagramで大量に公開する“スーパーおっかけ”の顔も明らかになっている。自称15歳少年との関係は現時点で不明だが、Instagramには一緒に食事をする様子の写真もあった。

現在も衰えない人気が仇に？　

　生前のカークイさんを見ていない2人が、一体なぜこんなにひどい事件を起こしたのか。その理由は「現在も衰えない人気にある」という見方が強いようだ。 「カークイさんの人気は死後も衰えず、中国大陸ではむしろ死後にファンが急増しました。 現在のBEYONDが05年から活動休止中のため、伝説化していることも人気を後押ししています。今回の破壊行為には、その人気を利用して有名になりたいという意図があるようです。別の墓を破壊しても、香港と中国大陸でこれほどの注目は集められません」 　15歳少年は以前も墓を荒らす映像でネット上の注目を集めた。香港の迷惑系YouTuberでは多数の逮捕歴がある「劉馬車」が有名だが、15歳少年はその後継者を自称し、コラボ動画を撮影したこともあるという。 「また、カークイさんの墓に関する事件は今回が初めてではありません。2018年にマジックで書かれた文字が見つかるなど今回が4度目。もちろん今回も、BEYONDのメンバーたちが怒りのコメントを発表しています」 　破壊された墓には白い布がかけられ、訪れたファンの中には号泣する女性もいた。31回目の命日は約1カ月後、改めて冥福を祈りたい。

デイリー新潮編集部