ナゼ?「うまくいったら高額報酬を保証」より「ヘマしたら高額報酬から減額」の契約のほうが〈高い成果〉を見込めるワケ【経済評論家が解説】
「高い報酬を出そう。だが、ヘマをしたら減額するぞ」
「成功報酬」という報酬体系があります。「うまく行ったら謝礼を弾む」という契約をすることで、相手のやる気を引き出そう、という発想なのでしょうが、本稿から考えると「高い報酬を約束するが、ヘマしたら報酬を減額する」という契約にしておいた方が相手のやる気が出るかもしれません。 子どもに勉強させようと思ったら、「よい点をとったらオモチャをあげる」ではなく、「オモチャをあげよう。でも、悪い点を取ったら取り上げるから、そのつもりで頑張って勉強しなさい」というほうがよいかもしれません。 もっとも、その場合にはこどもがオモチャで遊んでしまって勉強しない、というリスクもあるので、オモチャに鍵をかけておく、といった工夫は必要でしょうね。もうひとつ、何度テストを受けても良い点がとれなかった場合にオモチャが無駄になる、という可能性もありますね。別の子どもがいれば、再利用できるのでしょうが…。
投資初心者が「株を塩漬け」にしがちなワケ
人間の脳の錯覚で有名なのが「儲かったときの喜びよりも、損したときの悲しみのほうが大きい」というものがあります。 これが株式投資を思いとどまらせる要因として働いているため、「投資初心者は〈せっかく値上がりで得た利益を失いたくない〉という気持ちが強いから、利食い売り(利益確定売り)が早過ぎる」とか「資産全額を銀行預金にする人が多い」とかいわれています。 「オモチャを得る喜びよりも一度自分のものになったオモチャを失う悲しみの方が大きい」というのと「金融資産を獲得する喜びよりも、一度獲得した金融資産を失う悲しみのほうが大きい」というのは似ていますね。 投資初心者は損切りが苦手だともいわれています。株価が購入価格を下回ると「いま売ったら損失が確定してしまう。それは嫌だから、株価が戻る可能性に賭けて、売らずに持っていよう」と考えて値下がりした株を塩漬けにする人が多い、というのです。 本来であれば、値上がりしたときも値下がりしたときも「買った値段のことは忘れて、自分が豊かになるためには売るべきか、持っているべきかを考える」のがよいのですが、投資初心者の場合には脳の錯覚がそれを許さない、というわけですね。 今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。 筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。 塚崎 公義 経済評論家
塚崎 公義