「独房で過ごす日々は常に恐怖」…イランで逮捕された女性が振り返る「地獄の日々」の中身
おとなしく従順であること
刑務所では、尋問官は単なる尋問官ではありません。彼らは家父長的な秩序を体現した存在で、彼らの思いどおりになることを拒んだ女性から声を奪います。こういう構造のなかで、ちゃんとした女性として社会に居場所があって敬意を払われるのは、おとなしく従順で、既存の秩序を受け入れ、そのなかで生きていくことを引き受けた女性だけです。ここでレザ・バラヘニ(亡命したイラン人作家、カナダ在住)の言葉を引用したいと思います。 「2種類の言葉、2種類の声を持つ人間を信用することなど、どうしてできようか? ひとつの言葉であなたを打ち、もうひとつの言葉であなたの自由と意志を、優しく穏やかに奪う者を? 自分は卑しく、彼らが優れていると本気で思えるだろうか? 自分は許されず、彼らは許される、だから彼らは勝者であると思うことができるだろうか? あるいは、忍従こそ生き残る唯一の道だと思うことなどできるだろうか?」 この文章にはとても勇気づけられました。 このような秩序のなかで、人は人間を2種類に峻別しようとします。力があり、人を支配し、場合によっては拒絶することのできる集団と、力がなく劣っているため、言うことを聞くしかない集団です。尋問の仕組みと家父長制社会の共通点がここにあります。尋問、暴力、懲罰、それらを通じて、尋問官は父親や兄、夫、国と同じ役割を演じています。彼らは女性に、従属的社会集団になることを強要しています。 翻訳:星薫子 『尊厳を破壊するイランの「白い拷問」を生き延びた女性が暴露する、「独裁国家」イランの「失敗」』へ続く
ナルゲス・モハンマディ(イラン・イスラム共和国の人権活動家・ノーベル平和賞受賞者)