「将来の夢はユーチューバー!?ふざけるな!」親と子の理想の職業はなぜひたすらすれ違う?
現在は徐々にテレビの視聴時間も視聴率も下降し、広告媒体としてのテレビの力は弱まったため、テレビ広告の価格も下がっています。逆に広告主は、テレビ以外にも広告の選択肢が増えるので、相対的にテレビへの広告費の配分を減らします。テレビ局の収入は減少するので番組制作費も削る必要があります。 このようにしてテレビ局の立場が弱くなると、スポンサーである広告主の顔色を窺うようになります。問題が起きてスポンサーが降板する事態を避けるため、上層部や営業担当は気を使い、自由な番組制作を制限します。クレームになれば、あっという間にネットで拡散してしまうので、物を壊すなどの危険なシーンや、少しでも叩かれそうな内容はカットです。こうして、評判になるような面白い番組は生まれにくくなります。 ● 若者向けの番組を テレビ局が作らないワケ 振り返ればテレビが影響力をもっていた古き良き時代のヒット番組には、公序良俗に少々反する内容もありました。それが面白さにつながる面もあったのです。それでも当時は、クレームの手段が少なかったこともあり、あまり表立った問題にはなりませんでした。時が経って今、変化する環境の中でテレビは苦しみ、悪循環にはまっています。それを横目にYouTubeが、少しずつ確実に視聴者を奪っている状況です。
こうなると、何が起きるのでしょう。 テレビ番組は、よく見る視聴者が好む内容に近づいていくのです。視聴率を獲るためです。今の時代にテレビを好むのは、テレビを見て育った年代である、F3層(50歳以上の女性)や、M3層(50歳以上の男性)です。彼らの好みに近づけると、旅、グルメ、健康などをテーマにした番組が増えていきます。これらは10代~20代の好みに合いません。その結果、若者層はさらにテレビを見なくなります。新たな層を獲得できなければ視聴者ボリュームは減る一方です。 このようにして徐々に、テレビ離れが進みます。テレビを離れた若者たちは、YouTubeなどネットへ流れていくのです。 ● パティシエとユーチューバー 本当にハイリスクなのはどっち? このような状況の下、小学生がユーチューバーに憧れるという現象が生まれています。なぜ小学生はユーチューバーになりたいのでしょうか?その魅力は何でしょう。いくつか、思い浮かびます。まずテレビ以上に面白く、時に奇想天外な番組を作れる人がユーチューバーです。成功すれば高収入を得られる職業です。また自分の好きなことを追いかけられる職業でもあります。 いろいろな魅力があるにもかかわらず、「小学生が就きたい職業」の上位に入ることに対して世の中から、特に高年齢層の人々から違和感を持たれているようです。そこには今の小学生と、親世代を含めた高年齢層を隔てるギャップがあります。