将棋の藤井名人・竜王、今年最初の対局に勝利 「集中して指せた」
藤井聡太名人・竜王(22)=王位・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ七冠=が8日、東京の新将棋会館で指された今年初の公式戦で勝利した。昨年失冠した叡王戦の本戦トーナメントで、タイトル奪還に向け幸先のいいスタートとなった。 【写真】新しい将棋会館での初戦を飾った藤井聡太名人・竜王=2025年1月8日午後5時27分、東京都渋谷区の将棋会館、北野新太撮影 この日対局したのは増田康宏八段(27)。振り駒で藤井名人の先手となり、得意の角換わりで進んだ。藤井名人は中盤の攻防を経て鉄壁の堅陣を築き、2枚の「馬」で盤上を制圧。敵陣に逃げ込む「入玉」に活路を求めた増田八段の粘りを許さず、藤井名人の完勝となった。 藤井名人は「新年初めての対局で、久しぶりの公式戦だったが、一局を通して集中して指すことができた」と、充実した戦いだったことをうかがわせた。叡王挑戦まであと3勝としたが、藤井名人は「まだ挑戦を意識するような段階ではなく、一局一局がんばっていきたい」と語った。 増田八段は今期の棋王戦挑戦者で、2月に開幕する五番勝負で藤井名人と戦う。この日の対局について「藤井さんとの久しぶりの長時間の対局で、角換わりの将棋を経験できてよかった。2月まで時間があるので、もっと準備をしていい将棋を指したい」と話した。 藤井名人のこれまでのタイトル戦戦績は26勝1敗。唯一の敗戦となったのが昨年の叡王戦で、4連覇を目指した五番勝負で伊藤匠叡王(22)=当時七段=に敗れて失冠した。叡王戦本戦トーナメントには各段位別予選を勝ち抜いた棋士やシード棋士16人が名を連ね、この日が1回戦の初戦だった。(杉村和将)
朝日新聞社