バレー久光製薬が女王奪還 石井優希「ホッとしました」、今村優香「自信になります」
光った新鍋のレシーブエース
第4セットは11-8からの荒木絵里香のサーブの場面、サーブレシーブ陣が崩され6連続失点で逆転された。「心が折れそうになった」と石井は言う。 そこをリベロから外れレシーバーの役割を担う筒井さやかがカバーした。負担が軽くなった石井が決めて連続失点を切ると、アキンラデウォのブロック、新鍋のサービスエースで追いつき、15-15で石井が相手エースのネリマンをブロック。 終盤では新鍋。18-18の同点の場面で、荒木のブロード攻撃を必死でディグ、そのボールが相手コートに落ちレシーブエースになった。その後も新鍋はネリマンをブロックでしとめ、サイドからアタックを決め、最後はサービスエース。チームを優勝に導いた。
「課題」にも向き合っての戦い
「『拾い負けしない』『自分たちで決めきる』で臨んだが、トヨタ車体は粘り強く苦しい戦いになった。勝負どころでチームが一つになってしのいでくれた。代わって出た選手も自分の仕事をして、流れを引き寄せてくれた。数字では負けているが(アタック決定率、ブロック得点はトヨタ車体のほうが上)、ある意味勝ち方問わず、勝ち切れて本当によかった」と酒井監督も選手を称えた。 「個で戦ってしまう……」 「チームで点数を取るというより個人技でどうにか頑張って点を取る感じになることがある。そういうときにコート内で全員で目を合わせてチームで次の1点を取りにいく、同じ気持ちでできたらいい」と新鍋は話していた。 「いい時はバレーを楽しんでやっていると思えるが、今は自分でもイライラしてるなって思うプレーが多い。感情的になる。そこをもっと大人になれたらプレーも変わってくると思う。モヤモヤしてしまっているから余裕がなくなっていて……もっと余裕を持てたら」と石井は話していた。 この日の決勝はそういった「課題」にも向き合っての戦いだった。チームや個人が一つ上に行けるきっかけ、何かをつかめたことだろう。
「バックアタックを増やしたい」
天皇杯・皇后杯を勝ち、久光製薬が次に目指すのは新リーグ初代女王(リーグ連覇)だ。ただ勝つだけでなく、チームをさらに成長させ、久光らしい内容で、他を圧倒する強さで勝つ。そうすることが日本代表へと、東京五輪へとつながる。 世界を見据えるチームだからこその課題はやはり「バックアタック」。2018年終了時点での本数は47本で11チーム中10番目、最も多いトヨタ車体の246本からみれば、試合数の差はあるにせよ圧倒的に少ない。決定率も6番目。 相手ブロッカーのシステムによってや、またフロントからの方が有効な場合はもちろんあるが、前衛中心でアタック決定率1位の久光製薬だけに、ミドルとあわせてバックアタックがさらに増え攻撃の幅が広がれば、世界に引けを取らないオフェンス力に、といった夢も広がる。効果的にバックアタックを使えると思う場面はまだまだある。 「久光はバックアタックを増やそうとやってきている。バックアタックをコンスタントにいれられたら、チームにもプラスになる。どんどんトライしていきたい。自分がサーブレシーブをしない形になっているが、自分がパスできれば、ユキさん(石井)がバックアタックに入れるパターンが増えてくるので、向上心を持ってレベルアップしていきたい」と今村は言う。