最後は“プラチナ・チケット”も「日本唯一、異形のバス」最終日に密着! 100年の歴史ついに終わり
新たな「一番高い鉄道駅」は?
立山黒部貫光では、室堂15時00分発の最終便は混雑を避けるため、事前募集という形を採りました。説明によると、この便は定員200名に対して応募は920人もあったそうで、抽選倍率は実に4.6倍。当選者がバス4台に分かれて乗り込むと、プラットホームで記念式典が開かれました。社員が「1996年の運行開始から29年間、無事故で本日の最終運行を迎えました」と挨拶し、最終便の運転士4人に花束が贈られました。 曲「銀河鉄道999」が流れる中でバスが警笛を鳴らして出発し、「29年間ありがとう さよなら『トロリーバス』」と記した横断幕を掲げたスタッフが見送りました。笑顔で手を振った乗客が小さくなっていくのを眺めたスタッフには感極まって涙する人もおり、映画の一場面のような「胸熱」のシーンが繰り広げられました。 立山黒部貫光 室堂運輸区の堀田淳一区長は「やり遂げた感でいっぱいです。無事故で(運行を)成し遂げたことを大変誇りに思っています」と胸を張り、2025年4月の電気バスの営業運転開始に向けて「安全運行ができるようにしっかりと準備したい」と強調しました。 早川さんは「電気バスの車内はバリアフリー化が進み、お客さまは車内を広く感じるのではないか」と期待を込めます。 トロリーバスの廃止に伴い、日本で最も高い場所にある鉄道駅が変わりました。これまでは標高2450mの室堂駅でしたが、新たな日本一は同じく立山黒部貫光が運行する黒部ケーブルカー(鋼索線)の黒部平駅。こちらの標高は1828mで、今後は620mほど低くなります。
大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)