池江璃花子選手の強い心はどう育てられた? 母親が伝えた「時間を守る、片付ける」習慣
片づけ、整理整頓で心が整う
目に入る環境で、人の心の状態は変わると思います。 私は、玄関に靴を脱ぎっぱなしにしているのを見るのが本当に嫌で、家では子どもたちに対して、靴を脱いだら必ず下駄箱のなかにしまうよう、口を酸っぱくして言い続けてきました。 玄関は家の入り口です。あいさつが人間関係の入り口として大切なように、家もまず入り口を整えることが、なかを整えることにつながります。 椅子は必ず机やテーブルの下にしまう。これも家では徹底してきました。もちろん、幼児教室でも同じです。 あるべきものが、ちゃんとあるべき場所にあることが、整理整頓の基本です。使ったあとの椅子が机からはみ出していたら、通るときの邪魔になりますし、見た目も美しくありません。 私は、子どもたちには、「あれをしなさい」「これをしなさい」と口うるさく言うようなことは、あまりしてこなかったつもりです(子どもたちがどう思っているかはわかりませんが)。 ただ、片づけに関することだけは、つねに言ってきました。 「部屋をきれいにしよう」「床にものを置かない。すっきりするし、つまずくと危ないからね」 私に言われると、子どもたちは部屋を片づけましたが、しばらくすると、また元にもどっていることも……。ですから、我が家がいつもきれいに片づいていたのかといえば、全然そんなことはなかったのです。 それでも、辛抱強く子どもたちに言い続け、家族みんなで家のなかをきれいに保つよう心がけてきました。家のなかがきれいに整うと、心のなかもきれいに整ってくるものです。そして、それを継続すると、少しの乱れにも気づくようになってきます。集中力を高め、能力を最大に発揮するためには、心が整っていることが大切です。片づけ、ものの整理整頓は、そのベースを作ってくれます。 【POINT】あるべきものが、ちゃんとあるべき場所にあることが、整理整頓。家のなかがきれいに整うと、心のなかもきれいに整う。
池江美由紀(東京経営短期大学こども教育学科特別講師)