長期金利は緩やかに上昇、日銀利上げ頓挫なら低下も-2025年の展望
利上げは1回との見方も
19日の日銀金融政策決定会合での利上げ見送りや植田和男総裁のハト派的な会見を受けて、25年の利上げは1回にとどまるとの見方も増えつつある。その場合、長期金利の上昇はより緩やかなものになる可能性がある。
アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎債券ストラテジストは、植田総裁の会見は「賃金と物価の好循環に自信がないように聞こえた」と語る。近い将来0.5%への利上げはあるかもしれないが、中小企業の賃上げの確認が必要なことや消費の弱さを考えると0.75%へのハードルは高く、長期金利の上限は1.45%、年末は1.25%を見込む。
為替の動向も日銀の金融政策を見通す上で重要な要素となる。みずほ証券は20日付のリポートで、各国中央銀行の利下げで金利差が縮小すれば円安にも底打ち感が出やすくなると分析。基調的なインフレが加速感を欠く中で、為替の物価への影響が中立かマイナスに転じれば「利上げ打ち止めが本格的に視野に入ってくる」とし、長期金利の上昇は1.2%までにとどまり、年末は1%と予測する。
利上げの行き詰まりで、長期金利はむしろ低下するとの見方もある。ニッセイアセットマネジメント戦略運用部の三浦英一郎専門部長は、年末の水準を0.9%と予想。トランプ氏の政策が不透明なため、米国の長期金利は一時的に5%を試す局面があるかもしれないが、物価が加速していない中で日銀が政策金利を0.5%以上に引き上げる理由はなく、日本発の金利上昇要因は見当たらないと言う。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、早ければ年央に消費者物価(CPI)上昇率が2%を下回り、利上げは3月で打ち止めになるとみる。長期金利も利上げの前後に1.2%程度まで上昇したところがピークで、年後半は0.7%に接近する場面もあると予想している。
2025年の長期金利予想
--取材協力:船曳三郎.
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Masahiro Hidaka