JFL昇格決定!震災から発足のいわきFCの異色挑戦「遺伝子検査を使ったトレーニング分類とフィジカル革命」
自前の練習グラウンドも完備している環境を含めて、ハード面はJ1クラブを凌駕していると言ってもいい。実際、いわきFCの公式ホームページに掲載されている、上半身が写った選手たちの写真を見ると、筋骨隆々の胸板が誇らしげに並んでいることにとにかく驚かされる。 日本サッカー界にいわきFCの名前が初めて知れわたったのは、2017年の天皇杯だった。2回戦でJ1の北海道コンサドーレ札幌を、延長戦の末に5-2で撃破。当時は福島県社会人リーグ1部を戦っていたこともあり、7部リーグのチームが痛快無比なジャイアントキリングを達成したとして注目された。 敗れはしたものの、3回戦でもJ1の清水エスパルスに食い下がる善戦を演じてから約2年半。依然として最高レベルにある練習環境と、現状に満足する甘さを見せた選手は退団を余儀なくされる厳しさとの相乗効果のもとで、いわきFCは回り道することなくJFLの扉をこじ開けた。 新体制をスタートさせたときから、チームスローガンとして『WALK TO THE DREAM』が掲げられている。夢へ向けて突っ走るのではなく、不断の努力で力をつけながら、一歩ずつ前へ歩んでいく。夢のひとつである「日本のフィジカルスタンダードを変える」を、いよいよJFLの舞台で証明していく来シーズンも、言うまでもなくJ1の舞台へ登り詰めるうえでのマイルストーンとなる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)