JFL昇格決定!震災から発足のいわきFCの異色挑戦「遺伝子検査を使ったトレーニング分類とフィジカル革命」
平岡ら一部選手を除いて契約はアマチュアで、午前中に行われる練習に臨み、昼食と休憩をはさんだ後に、午後に練習場と同じ敷地内にあるDIBに勤務して生計を立てる。それでも1年ごとに陣容を見直しながら大量に選手を入れ替えてきた理由を、大倉代表取締役とともにベルマーレから移った田村雄三監督兼スポーツオフィサーはこう説明したことがある。 「モチベーションとは自分で作りあげるものであり、そのなかでどのような選手にここへ来てほしいのかと言えば、子どものころから描いてきた『プロサッカー選手になりたい』という、ギラついた夢をもち続けられる選手となりますよね。何のためにウチに来たのか。将来的にはどこを目指したいのか。別にウチを踏み台にしてもいいんです。ただ、そういったモチベーションをもっていないと、ウチでは続けられないと思っているので」 いわきFCのクラブハウスは日本で初めて商業施設が併設された様式になっていて、テナントには飲食店などに加えて、ドーム社が運営するトレーニングジムが入っている。最新鋭の機器がそろう環境のもと、選手たちは「日本のフィジカルスタンダードを変える」を合言葉に、週3日はボールを使ったトレーニング時間を筋力トレーニングのそれが上回る、過酷なメニューを黙々と消化している。 日本のスポーツ界でほとんど前例のない遺伝子検査も実施。採取した唾液によって選手たちの遺伝子はパワー・スプリント系、持久力系、両方の要素をもつポリバレント系の3つに分類され、一人ひとりのトレーニングメニューも遺伝子のグループごとに設定されるようになった。 食事もドーム社のもとで栄養とカロリーが管理されたメニューが朝・昼・晩と提供され、選手個々の体調や血液検査結果などに応じてさまざまなサプリメントも処方さされる。冒頭で「日本サッカー界で異彩を放つ挑戦」と記したのは、前例のないフィジカル革命に取り組んでいるからに他ならない。