ウィンクルボス兄弟の父、400万ドルのビットコインをビジネススクールに寄付──サトシ・ナカモトにも影響を与えた学派
有名な仮想通貨双子の父であるハワード・ウィンクルボス(Howard Winklevoss)氏は、グローブシティ大学(Grove City College)に400万ドル(約5.6億円、1ドル=140円換算)相当のビットコイン(BTC)を寄付する。このような形での同大学への寄付は初めてのものである。サウンドマネーとオーストリア学派の経済学は後に(ビットコインを発明した)サトシ・ナカモトにも影響を与えるものとなったが、同氏は同大学在学中ににこれらの考え方に興味を持った。 同氏による今回の暗号資産の寄付は同大学が受け取ったものとしては初となるビットコインによる寄付であり、新たなビジネスプログラムの資金に充てられると、同大学は現地時間9月17日のプレスリリースで発表した。 ウィンクルボス氏は、暗号資産に初めて注目した「ひらめき」の瞬間は、ビットコインが政府に属さず、供給量が固定されたデジタル通貨だと気付いた時だったと語った。「簡単に言えば、電子メールのように機能するサウンドマネーだ。」
ビットコインとの出会い
同氏は、グローブシティ大学で、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス(Ludwig von Mises)氏の徒弟でオーストリア学派の自由市場経済学者のハンス・ゼンホルツ(Hans Sennholz)教授のもとで学んでいた時に、初めてサウンドマネーの原理について学んだ。「この経済学の考え方とサトシが作ったものとの間に、点をつなげることで、頭の中で電球の明かりが灯った」とウィンクルボス氏は語る。 同氏は2013年に初めてビットコインを購入し、その後、イーサリアム(ETH)や、興味深い問題を解決しているように見える他のいくつかの暗号資産プロジェクトに投資した。 双子の息子たちが父親を暗号資産に引き込んだのかと聞かれると、タイラー・ウィンクルボス(Tyler Winklevoss)氏は、簡単に答えるとその通りだと述べた。 「キャメロン(Cameron)と私が2012年に初めてビットコインに出会ったとき、誰もそれを暗号資産とは呼んでおらず、ただ単にビットコインだった」と同氏は語った。「イーサリアムのホワイトペーパーはまだなく、私たちは初めてビットコインについて知った直後に父に対して話をした。なので、父をビットコインに引き込んだのは間違いなく私たちの責任だ。」 しかし、父親がグローブシティ大学に寄付したことを振り返ると、ある意味では逆だったかもしれず、自分たちをビットコインに引き込んだのは父だったとタイラーは語った。「父が1960年代にグローブシティ大学で学んだときに初めてサウンドマネーの原理に出会い、そこで教えられていたオーストリア学派の経済学に大きく影響を受けたからだ。この学派の思想は明らかにサトシにも影響を与えている。」 父は家でいつもこれらの考えについて話し、それが幼い頃から私たちに影響を与えた、とタイラー・ウィンクルボス氏は回想し、それがビットコインに出会ったときにその重要性と価値を理解するのに役立ったと語った。 「オーストリア学派にとって、最良の通貨は金だったが、金には携帯性や安全性といった問題がある」とタイラー・ウィンクルボス氏は述べ、「国際通貨として使われると中央集権化され、借用書を介して移動する傾向があるため、分散性は失われる」と付け加えた。 「サトシは金から最良の通貨特性を取り出し、それをデジタル通貨にコード化した」とタイラー・ウィンクルボス氏は指摘し、「ビットコインは資産であるだけでなく、ネットワークでもあるため、世界中に送るのがはるかに簡単で、電子メールと同じくらい簡単だ。これにより携帯性の問題が解決される」と続けた。 息子たちによれば、ハワード・ウィンクルボス氏はグローブシティ大学在学中に多大な影響を受け、それが社会に還元したいという願望につながったという。