もっと「バカ!」「アホ!」と口に出していい…メンタルがタフになる"ののしり言葉"の意外な効果
■元気やエネルギーを与えてくれる「パワーポーズ」 頭を後ろにそらして相手を見下ろそうとしたり、偉そうに腕を組んだり、足を大きく開いて座ったりする姿勢は、尊大でいばって見えますので、基本的にはやらないほうがいいとされています。 けれども、元気が出ないときにはあえてそういうポーズをとってみるのも悪くありません。 なぜなら、そういうポーズは、心理学には「パワーポーズ」と呼ばれていて、私たちにパワー、すなわち元気やエネルギーを与えてくれるポーズだからです。 ケンブリッジ大学のイ・ウンヘは、パワーポーズの効果を確認するため、重りの入った段ボールを持ち上げ、その重さを推測してもらうという実験をしたことがあります。 参加者が持ち上げるのは2回。1回目は普通に持ち上げてもらい、2回目はパワーポーズをとらせてから、あるいは弱々しいポーズをとらせてから、持ち上げてもらいました。 この実験でのパワーポーズは、イスのひじ掛けに腕を乗せ、片足の足首をもう片方の太ももに乗せるというポーズ。 弱々しいポーズのほうは、肩を落としてうなだれ、手を太ももに置いて、両足をぴったり閉じて座る、というものでした。 この姿勢を3分間とってもらったのです。 ■「力が出ない」のは、悪い姿勢が原因の可能性 では、段ボールの重さの推測値はどうなったのでしょうか。 それぞれのグループの答えの平均を見てみましょう。 パワーポーズをとったグループでは、ポーズをとる前は3.17kg、ポーズをとった後は2.83kgとなりました。 一方、弱々しいポーズをとったグループでは、ポーズをとる前は3.30kg、ポーズをとった後は3.40kgとなりました。 パワーポーズをとった後には、「なんだ、こんなもの」と段ボールを軽いと感じたことがわかりますね。逆に、弱々しいポーズをとると、より重く感じてしまうようです。 あなたは、普段どんな姿勢をとっているでしょうか。 街中を歩いているときに、お店のウィンドウに自分の姿が映ったら、ちょっと確認してみましょう。 猫背で、うなだれた姿勢になっていたりしませんか。だとしたら、自分でも気がつかないうちに元気が奪われる姿勢になっているということです。 私たちは、自分の姿勢というものをあまり意識していませんが、それはよくありません。 弱々しい姿勢をとっていると、心のほうも落ち込みやすく、ネガティブな方向に行きやすくなります。 「力が出ない」のは、悪い姿勢が原因かもしれません。 最近は、スマホの画面を見つめすぎて、いわゆる“スマホ首”に悩んでいる人も多いのではないかと思いますが、スマホ首の姿勢はまさしくうなだれた首の姿勢。そういう姿勢をとっていたら、元気が出ないのも当然です。 ---------- 内藤 誼人(ないとう・よしひと) 心理学者 慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる!暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。 ----------
心理学者 内藤 誼人