医師・中村哲の軌跡を追ったドキュメンタリー「荒野に希望の灯をともす」再上映
医師・中村哲を追ったドキュメンタリー「劇場版 荒野に希望の灯をともす」が8月31日から9月13日まで東京・ポレポレ東中野で再上映される。 【画像】「劇場版 荒野に希望の灯をともす」場面写真 アフガニスタンとパキスタンで35年間にわたり、医療支援や用水路建設に尽力した中村。その功績によって約65万人の命と生活が支えられたが、彼は2019年12月に武装グループの凶弾に倒れ、この世を去った。本作では中村の生の軌跡が描かれ、朗読を石橋蓮司、語りを中里雅子が担当した。2022年にポレポレ東中野で封切られると、全国67劇場まで上映が拡大されたほか、各地で自主上映会も実施。このたび観客動員数10万人を突破したことを記念し、リバイバル上映が決まった。 監督の谷津賢二は「2年間で10 万人もの方々に観ていただいたこと、とても嬉しく思うと同時に中村医師のことを伝え続ける責任の大きさに、身の引き締まる思いでいます」と感謝を伝え、「いま私たちの日本、そして世界を見渡すと、残念ながらほとんど『希望』が見当たりません。極端な政治不信、急速な物価高騰、終わらないウクライナ戦争とガザの惨劇…、こうした不穏な事象に日々さいなまれ、私たちはどこに向かっているかと想わざるを得ません」と述懐。「アフガンで命を燃やし、魂こがして人々に手を差し伸べた中村医師。その温かで真摯、そして鮮烈な生き様が私たちが進むべき道を示してくれると信じ、上映を続けて行きたいと思います」とコメントした。 ■ 谷津賢二 コメント 私たちの映画を観て下さった皆さん、そして上映を担って下さった劇場と自主上映会の皆さんへも、心からの御礼を申し上げます。ありがとうございました。2年間で10万人もの方々に観ていただいたこと、とても嬉しく思うと同時に中村医師のことを伝え続ける責任の大きさに、身の引き締まる思いでいます。昨夏、観客動員数5万人を超えた時に「なぜこれほどまでに沢山の方々がこの映画を観て下さったのか」と自問をしました。そして今10万人を超え、さらに深い自問をしています。それではその答えは何なのか。私はこんなことを考えました。いま私たちの日本、そして世界を見渡すと、残念ながらほとんど「希望」が見当たりません。極端な政治不信、急速な物価高騰、終わらないウクライナ戦争とガザの惨劇…、こうした不穏な事象に日々さいなまれ、私たちはどこに向かっているかと想わざるを得ません。そんな中で中村医師が書き遺した次の言葉に改めて励まされ、希望を持ったのです。そして、この言葉通りに中村医師は生きたからこそ、多くの人が中村医師をそして私たちの映画を支持して下さっている。それが10万人という数字への答えだと思ったのです。 「血なまぐさいニュースが多いですが、この中にあっても、人々の幸せを願い、少しでも良心的に生きようとする者も少なくありません。そうした人の温かさこそが、かろうじて世界の破局を防ぎ、私たちをつないでいるのだと、最近考えます。」 中村医師が言う通り、世界の破局を防ぐのは人々の「良心」であり「温かさ」なのだと私は確信しています。アフガンで命を燃やし、魂こがして人々に手を差し伸べた中村医師。その温かで真摯、そして鮮烈な生き様が私たちが進むべき道を示してくれると信じ、上映を続けて行きたいと思います。この機会に、ぜひポレポレ東中野にてご覧いただけたらと思います。