「もしも」の眼差しで自然を映す──ヨシロットンによる初の個展開催
逞しい想像力とSF的な美学を併せ持ち、異なる事象が同居した世界観を構築するアーティスト、ヨシロットン 。その初となる個展が霧島アートの森で開催中だ。 【写真を見る】ヨシロットンの作品をチェックする
モチーフは故郷、鹿児島の雄大な自然
ヨシロットンの創造性を育んだ故郷・鹿児島の雄大な自然をモチーフにした初の美術館個展が、鹿児島県霧島アートの森で開催されている。2018年に東京で開催された個展では、自然とデジタル、宇宙、そして光そのものへの関心をコンセプトにしたシリーズ「FUTURE NATURE」を発表。山や河川などの有機的な造形物を、光を視覚化する滑らかで金属的な質感によって表し、可視領域外の世界に思いを馳せながら、それらを記録し出力する光景を表現した。 今回の見どころは展示空間全体を使った巨大なインスタレーションで、ここでしか見ることのできない風景を創出。さらに映像やプリント、アルミニウム、モニター、岩石、屋久杉など、多様なメディウムによって表現された作品を展示している。私たちが見ている自然風景は、未知なる光に照らされたときどのように映るのか、といった新たな視座を得るきっかけとなる展覧会だ。 ■YOSHIROTTEN 1983年生まれ、鹿児島県鹿屋市出身。ファインアートと商業技術、デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、複数の領域を往来するアーティスト。主な個展に 「FUTURE NATURE」 (TOLOT heuristicSHINONOME, 2018年)、「SUN」(国立技場・大型車駐車場, 2023年)、「RadialGraphicsBio/拡張するグラフィック」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー, 2024年)ほか多数。アートディレクターとして、国内外のブランドやミュージシャン、東京のアンダーグラウンドクラブから現代美術フェアまで幅広いクライアントを持つ。代表を務めるクリエイティブ・スタジオ「YAR」では、広告・イベント・ロゴタイプ・内装/外装デザイン・ウェブ、映像など、視覚芸術が関わるほぼ全てのメディアでアートワークを手掛けている。 ■YOSHIROTTEN FUTURE NATURE Ⅱ In Kagoshima 会場:鹿児島県霧島アートの森(アートホール) 会期:2024年10月8日(火)~11月24日(日)、 月曜日休園(祝日の場合翌日休園) 開園時間:9:00~17:00(入園は閉園30分前まで) 観覧料:一般 ¥1,000、高大生¥700、小中生¥500 https://www.open-air-museum.org/ 編集と文・遠藤加奈(GQ)