最初で最後のインカレ決勝戦 ── オーバータイム4回の激闘の中、笑顔でコートに立ち続けた4年生(インカレバスケ2024・白鷗大学 佐藤多伽子)
もうよくわかんないけど……良い大会になりました!
今年のインカレ女子決勝も6年連続となる白鷗大学 vs 東京医療保健大学が対戦。4つのクォーターでは決着がつかず、さらに4つのオーバータイムにもつれる歴史に残る戦いだった。初のファイナルに臨んだ佐藤は、これまでの3年間との帳尻を合わせるように44分34秒、他の4年生がファウルアウトしていく中、最後までコートにたっぷり立ち続けた。東京医療保健大学に17点リードされた第3クォーター、佐藤の性格上、「ポジティブには行けない気持ちがあり、もうダメかなって正直思っていました」と正直すぎる振り返り。しかし、バスケは1人で戦うわけではないチームスポーツ。「ベンチやスタンドから『自分を信じろ』と声をかけてくれて、そこで『まだやれる』と思えました」と仲間たちが無理矢理前を向かせたことで、佐藤はさらなる実力を発揮する。同点に追いつき、東京医療保健大学に先手を取られるオーバータイムも笑顔でチームを引っ張った。 「メッチャメッチャ苦しかったし、もうダメなのかなってネガティブな気持ちも出てしまいました。でも、まわりのみんなのおかげでここまで戦うことができ、きつくても応援してくれる人がすごくいて、そのおかげで最後まで走り回れたのかなと思います」 過去3年間、何もスタッツを残せなかったインカレ決勝だが、最後の最後にチーム最多の27点を記録し、2連覇へと導いた。試合後の喜びの声を求められ、「すごくうれしい気持ちでいっぱいなんですけど、ものすごい激闘であり、オーバータイム4回という経験したことがない大会になり、自分にとっても良い経験になりました。思い通りにいかないことや相手にアジャストされて、自分たちのペースや流れがあまり来なかったんですけど、自分も仲間も全員が信じて、もうよくわかんないけど……良い大会になりました」とまとまりのつかない感情が溢れ出すほどの激闘だった。 オリンピックのサイクルと同じように、4年間は長い。大学生活の十分な時間でどこまで高めることができるか、自分自身との戦い。インカレ決勝など大舞台に立つことができれば、その過程における課題や自分と位置を知ることもできる。しかし、佐藤や高田にはその機会がまわって来なかった。それでも乗り越え、最高の結果を手に入れられたのも4年間の努力の証。最後まで笑顔でコートに立ち続けた佐藤へ、MVPというご褒美が与えられた。