商用車復権? 自工会会長人事にみる時代のうねり
「報道部畑中デスクの独り言」(第348回) ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、日本自動車工業会の会長人事について― 【写真全7枚】2024年度に発売予定のいすゞのEVバス
日本自動車工業会(以下 自工会)の記者会見が11月22日に開かれました。新型コロナウイルスの影響で、ここのところオンラインによる開催が続いていましたが、久々に対面での開催。場所は東京・芝大門の日本自動車会館です。 「来場者は目標を上回る111万2000人。成功と言ってよいのではないか」 豊田章男会長(トヨタ自動車会長)は、東京モーターショーから名称を変更したジャパンモビリティショーについて総括。その後、重要な発表に移ります。来年(2024年)1月に豊田氏からいすゞ自動車の片山正則会長に自工会会長のバトンが渡されるという会長交代の発表でした。 自工会は1967年、自動車工業会と日本小型自動車工業会が合併して設立されました。会長のポストは、当初はトヨタ自動車と日産自動車の2社で割り振られ、その後、2002年からはホンダが加わって3社の輪番となりますが、2018年以降、豊田章男氏が5年にわたって会長の職を続けてきました。
2012年から2014年まで務めていた時期もあり、豊田氏の会長期間は足掛け7年に及びます。激務であったと察します。そして、いすゞ・片山氏の就任はトヨタ・日産・ホンダの3社以外では初めてとなります。 「2024年問題をはじめ、物流・商用領域が大きなテーマ。喫緊の課題に全員で取り組むことが未来への重要な一歩になるとの認識のもと、大型車の世界で豊富な経験を持ついすゞの片山さんに次期会長をお願いしたいということになった」(豊田会長) 「2024年問題に代表されるドライバー不足、物流効率化や運行管理等々、協調すべき課題が多い商業領域が当面のペースメーカーになるべきという議論に至り、今回の自工会新体制となった」(片山次期会長) 記者会見では2024年問題をキーワードに、片山氏就任の理由が語られました。2024年問題とは、働き方改革関連法で、ドライバーの労働時間に上限が課されることによって生じる問題のこと。働き方改革そのものは、さまざまな企業で既に実践されていますが(私どもメディアも例にもれません)、物流・運送業界では規定が免除されてきました。 来年(2024年)4月から適用ということでドライバーの人手不足、物流の停滞、さらには業界の売り上げ・利益減少、ドライバーの収入減少が懸念されています。運行計画の見直しやデジタル技術の活用などが対応策として挙げられていますが、当然、自動車業界もこの問題と無縁ではなく、物流を担うトラック・バスを生産するメーカーが危機意識を持っています。