商用車復権? 自工会会長人事にみる時代のうねり
そして、スペシャリティカーの分野では世界的なカー・デザイナー、ジウジアーロのデザインによる117クーペ、ピアッツァを輩出。特に117クーペは約13年の長きにわたって生産された名車であり、旧車ファンのなかではいまでも根強い人気があります。私の知り合いの記者にもユーザーがいます。 しかし、このような個性化路線も販売は不振。1990年代以降は経営危機に陥り、リストラの末、乗用車生産から撤退。トラック・バス専業として歩み続けます。GMの提携解消後はトヨタと資本・業務提携。一時途切れるものの、トラックの電動化を視野に再びトヨタとの提携に至ります。 一方、国内では長らく続いたトラックメーカーの“4社体制”は合従連衡が進みました。かつて日産グループだった日産ディーゼルはUDトラックスと名を変え、いすゞの傘下に。先のジャパンモビリティショーでは、いすゞ・UD合同のブースがつくられました。
このようにいすゞ自動車はトラック・バスをはじめとする商用車分野において、戦前からノウハウを蓄積してきました。創業当初の約100年前はまさにトラック全盛の世の中だったのですが、翻って現代はどうでしょうか。CASEと呼ばれる「100年に一度の大変革」の時代、特にE=電動化、A=自動運転、S=シェアリングは、クルマの所有のあり方を根本的に変える可能性があります。 そのとき、主役に躍り出るのは商用車かも知れません。戦前のトラック全盛の時代から約100年。「大変革」というより、歴史は繰り返すのではないか……そういう意味で、自工会会長に片山氏が就任することは感慨深いものがあります。(了)