宮崎から世界へ――J注目の日章学園MF南創太が“デビュー戦”で味わった悔しさ「代表でも仕掛けられる選手にならないといけない」
4-4-2の右サイドハーフでスタメン出場
MF南創太(日章学園/3年)にとって、思い描いていた代表デビュー戦ではなかったかもしれない。 【画像】トップリーグに続々参戦!2024年夏に海外で新天地を求めたサムライたち 8月22日に開幕したSBSカップ国際ユース大会に参戦しているU-18日本代表は、草薙陸上競技場でU-18韓国代表と対戦し、スコアレスドローに終わった。試合は同日の第2試合目だったが、雷雨の影響で第1試合が2時間中断。そのため、試合時間も40分ハーフから30分ハーフに変更された。 初めて世代別代表のメンバーに選出された南は、4-4-2の右サイドハーフでスタメン出場。しかし、ぬかるんだピッチの上で持ち前のドリブルと精度の高い左足のキックを思うように発揮できず、46分に交代となった。 代表入りの可能性が伝えられたのは、インターハイが行なわれていた7月下旬。入学当初は代表と全くの無縁で、チームメイトで昨秋のU-17ワールドカップで活躍したFW高岡伶颯(3年/サウサンプトン入団内定)の背中を追う立場だった。 そこから地道に努力を積み重ね、2年生だった昨夏以降に台頭する。得意のドリブルに磨きをかけるだけではなく、課題だったフィジカル面や決定力を伸ばして日章学園でレギュラーの座を勝ち取った。 最高学年の今季はJクラブから注目される存在となり、実際にトレーニングにも参加。シーズン開幕後も好調を維持し、そして今回のSBSカップで初めて日の丸を背負う機会を得た。 代表合流前には高岡とも言葉を交わし、「(U-19日本代表が参戦する)アジアカップ予選や本大会に一緒に行こう」と約束をしていたという。U-18日本代表の船越優蔵監督は一学年上のU-19日本代表の指揮官でもあり、アピール次第では個人昇格も不可能ではない。 今回のメンバー構成を見ても新たな選手の発掘が目的のひとつであり、船越監督も「SBSカップでの目標は優勝すること。そして、もうひとつがU-19代表への個人昇格。彼らにはその二本柱を提示しました。そのなかで僕らスタッフはU-19代表のスタッフでもあるので、プロの基準で選手を見る。そこに乗っかってもらって、一緒にU-20ワールドカップに行こうという話はさせてもらった」と明かす。 南にとって、可能性を広げる大きなチャンスでもある。しかし、ピッチ上で自身の特長を表現するまでには至らなかった。本人はこう振り返る。 「プレーは目立っていなかった。自分らしさを出したかったけど、仕掛けるプレーよりも、サイドバックのオーバーラップを使う場面が多くなり、良さが出せずに安全に行き過ぎた。逃げたというわけではないけど、良さを出せなかったと思う」 その理由についても分析。「ピッチ状況が悪いことを言い訳にしては上にいけない。そのなかで代表戦は寄せも早いし、高校サッカーとは頭の回転もちょっと上げないといけなかった。タッチも大きくなってしまえば、ボールを取られてしまう。であれば、失わずに味方を使っていこうという意識が強くなった」と唇を噛んだ。 守備面で身体を張れた点は収穫。ただ、攻撃面でもっと積極性を出すことは、次に向けての改善ポイントだろう。 4チームの総当たりで行なわれる今大会は残り2試合。限られた出場機会で自らの価値を証明できるか。日章学園で見せているような思い切りの良いプレーができれば、巻き返すチャンスはある。 「代表でも仕掛けられる選手にならないといけない」と言い切った注目レフティは日韓戦を教訓とし、23日の静岡ユース戦に向けて気合を入れた。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)