「ブリブリ打線」が止まらない!巨人セ・タイ9者連続安打&1イニング12安打はプロ野球初のオール単打
◆日本生命セ・パ交流戦 巨人18―2ロッテ(4日・東京ドーム) 巨人が歴史的な波状攻撃でロッテに大勝し、交流戦首位タイに浮上した。同点の3回、先頭のヘルナンデスからセ・リーグ&球団タイの9者連続安打。リーグ最多に並ぶ1イニング12安打、それもプロ野球初となるオール単打で浴びせまくり、打者15人で一挙11点を奪った。先発の山崎伊織投手(25)は6回2失点で5勝目。今季プロ野球最多タイとなる23安打で18得点を挙げてリーグ首位の座も守った阿部巨人は、交流戦と“ダブル首位”に立った。 【動画】セ最多タイに並んだ!1イニング12安打の猛攻 快音が止まらなかった。巨人打線が球史に残る驚異的なつながりを見せた。2―2の同点で始まった3回、先頭の2番・ヘルナンデスから吉川、岡本和、坂本、立岡、岸田、泉口、9番投手の山崎伊、丸とスタメン全員が9連打で7得点。相手投手が左の小島から右の二保に代わった後さらに3安打で4点を追加した。30分以上、打ち続ける猛攻に場内は大歓声に包まれた。 阿部監督「年に何回あるか分からないくらいの集中力を見せてくれた。みんながつなごうという意識が出た結果だと思う。サインもなんもなかったですけど、すごいな、止まらないなと思って見ていました」 9者連続安打は球団&セ・リーグのタイ記録。「メークドラマ」の1996年7月9日広島戦(札幌円山)以来、28年ぶり球団2度目だった。この日は当時、監督だった長嶋茂雄終身名誉監督が観戦に訪れ、試合前にベンチ裏で阿部監督、選手を激励。阿部監督が「たぶん大喜びして帰ったと思います」と言うように、ミスターが見守る前で、96年生まれの岡本和らが伝説のヒットパレードを再現した。 1イニング12安打もセ・リーグタイ。その12本が全て単打はプロ野球史上初の偉業だった。途中の立岡から丸まで5者連続で無死満塁の波状攻撃。阿部監督は「小島くん、いい投手ですしコントロールもいい。そこで逆に絞りやすかったのかなとは思うんですけど」と振り返ったが、個々のつなぐ意識が、とてつもなく強固な束になった。 試合前のフリー打撃では阿部監督が、打球やスイング軌道のデータ計測をするアナリストの意見も聞きながら秋広や岡本和らに熱心に助言する場面もあった。各選手がバットの“面”で球を捉える感覚や強く振って強い打球を飛ばす意識を養って臨んでいた。 交流戦2戦目の5月29日のソフトバンク戦(東京D)の試合前ミーティングで指揮官は「みんな、もっとブリブリ振っていこう」と大号令をかけた。5月は24試合中16試合で2得点以下と苦戦した打撃陣の流れを変えるためだった。3回の猛攻にその精神が凝縮。打者有利のカウントでは強振して相手バッテリーに重圧をかけ、追い込まれてからはコンパクトに食らいつく。「ブリブリ打線」の躍動に「みんなね、やればできるので。これを少しでも継続してくれれば」と願った。 東京D最多タイとなる1試合23安打、18得点で圧勝。貯金「5」でセ首位を守り、交流戦首位タイにも浮上した。「状態はみんな上がってきていると思いますけど、これがずっと続くってわけでもない。明日はまた僅差のゲームだと思ってやってほしい」と引き締めた阿部監督。歴史的な攻撃でチームの勢いを加速させた。(片岡 優帆) ◆札幌円山球場の9連打 広島に最大11・5ゲーム差をつけられていた長嶋巨人は1996年7月9日の札幌円山球場での広島戦で、1点ビハインドの2回2死から後藤が左翼線二塁打を放つと打線が爆発。9者連続安打で逆転勝ちして勢いづくと、100試合目で首位に立ち、129試合目でセ・リーグ史上最大差(当時)をひっくり返して大逆転優勝を飾り「メークドラマ」を完結。円山での9連打は、その始まりの試合といわれている。
報知新聞社