ガイドブックには載らない「奈良の魅力」、老舗が手掛ける新・観光案内所が誕生 無料のガイドブックも
■ 奈良在住だから分かる、マニアックな情報も
「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを掲げ、産業観光の推進に取り組む奈良の老舗「中川政七商店」が、創業の地(奈良市元林院町)にある複合商業施設「鹿猿狐ビルヂング」内に、「奈良風土案内所」をオープンした。奈良産業観光のハブとなる場所を目指す。 【写真】裏面もこだわる、かわいらしい「風土案内カード」 従来の観光案内所とは異なり、ここでは単なるスポット案内ではなく、「奈良、新発見!」をコンセプトに、奈良で暮らしている同社社員たちのフィルターを通じた「奈良の風土」を観光客らに紹介する。 注目は、10坪ほどのスペースの壁面に並ぶ約60枚の「風土案内カード」と可愛いイラストが描かれた「風土案内板」だ。「旬」「旨」「新」「技」「酒」の5つのテーマに分かれており、約100カ所のスポットがセレクトされた「風土案内カード」で、訪れた人に「奈良を楽しむための旅先のヒント」を提供する。 ユニークなのは、スポットのセレクトからカードの文章(コラム)執筆に至るまで、すべて同社のスタッフが独自でおこなっている点。セレクトには全社員から意見を募り、7名の奈良在住スタッフが実際に手掛けたという。そのため、カードには、ガイドブックには載らないような個人の行きつけの店も。 例えば、5つのテーマのひとつに「酒」があるが、これは奈良県が「日本清酒発祥の地」であり、世界的な大会で受賞歴があるバーテンダーのBarが複数あることから「Bar文化」が根付いていることに起因する。奈良ホテル「THE Bar」のカードには、「(おつまみの)レーズンバターは、生涯食べ続けたい逸品です」との熱い愛が込められたコラムが載っており、確かに訪れて食べてみたくなる。 担当者のひとりである佐藤菜摘さんは、「大通りを歩くだけではわからない、裏通りの店も紹介しています。社員の顔が見えた方が、まるでその土地の友人・知人に紹介された気分を味わえ、奈良に接点が無かった人も奈良への解像度が高まると思います」と説明する。