高校無償化よりメリットある…子育て世代の家探しに見る「埼玉」今どき教育事情 人気不動産アカウントに聞く、県南の最新事情
教育は家選びの重要なポイント「古すぎるイメージ変えたい」
「すんで埼玉」はX(旧Twitter)で約3万4000人のフォロワーを有する不動産系人気アカウントだ。運営するのは、埼玉県鴻巣市出身の岡野周平氏。現在は不動産仲介サービス会社「すんで」の代表取締役を務め、とくに埼玉県で家を探す人のサポートを行っている。東京都内では中学受験の過熱化や不動産の高騰が進む今、埼玉県に住むという選択肢は、教育の観点から見てどうなのか。家を探す子育て世代は何を重視しているのか。岡野氏のリアルな手応えを語ってもらった。 【写真を見る】埼玉県民ならクスッとしてしまう広告看板。埼玉県で家を探す人のサポートを行う岡野氏は、埼玉の教育事情にも詳しい。 ――SNSを活用して発信されていますが、顧客にはどんな人が多いですか? 多いのはやっぱり子育て世代ですね。「結婚を機に」とか「子どもが生まれて今の家が手狭になったから」と家を探す人が多いです。いずれにしても、教育は家選びの重要なポイントになっていて、ほとんどの人が学区を気にしています。 埼玉県内で圧倒的に人気なのは浦和です。ハザードマップの危険度も低く、人気の小中学校が複数あって、東京都内へのアクセスもいい。ただし、とくに新しい物件はそれなりに高額なので、たいていは予算とのせめぎ合いになります。 ――県外からの転入者と、県内で移動する人との割合はどうでしょう。 半々ぐらいといったところでしょうか。県内で動く人は、すでに住んでいるエリア内での転居を希望するケースが多いです。東京都内から転入する人は予算が多めにとれる傾向があり、浦和に絞って探す人も少なくありません。 ――東京都から埼玉県への移住は避けたいと考える人も多いのではないでしょうか。 前提として、僕は別に埼玉だけを売り込みたいわけではないんです。ただ、イメージだけで避けるのはもったいない。例えるなら、僕らも昔は「アフリカ」と聞くだけで、詳しく知らないのにいろんな先入観を持っていましたよね。埼玉に対して、それぐらい雑な印象を抱いている人もいるんです(笑)。僕は今、川口市に住んでいるのですが、「荒れてるんでしょう」と言われることもあります。でも実際には、川口のすべてが荒れているなんてことはないんですよ。あまりに古すぎるし、理解が粗すぎる。僕はその理解の精度を上げたくて、「すんで」のビジネスを始めたんです。 ――すでにその土地に住んでいる人に相談できる「メンター制度」ですね。 そうです。実際にその街で暮らす人に話を聞けるサービスはこれまでなかった。「すんで」には100人以上のメンターが登録しているので、住みたい街にいる、自分と似た属性の人に話を聞けます。 とはいえ、家探しに時間をかけすぎるのはお薦めしません。週末ごとに物件探しをしたとして、3カ月あれば12回はチャンスがあるわけです。これくらいの期間で決められないと、その先もズルズルしてしまいがちですね。 ――志望校選びや就職活動とも似ていますね。しっかり学校見学や先輩訪問をしつつ、どこかで勇気を持って決める必要があると。メンターとの相談では、どんなことが話題になっていますか? 子どもが小さい人やこれから生まれる人が多いので、一番の話題は保育園探しです。県南エリアでも5、6年前は入れないことがあったようですが、現在は、第1志望は難しいにしても入れないということはないと聞きます。メンターの実体験を聞いて、みんな安心しているようです。