高校無償化よりメリットある…子育て世代の家探しに見る「埼玉」今どき教育事情 人気不動産アカウントに聞く、県南の最新事情
共働きや中学受験も多数、住み替え前提の「いったん埼玉」
――埼玉で家探しをする人の傾向や、多く見られるニーズはありますか。 住み替えを前提にした家探しが一般化していて、未来永劫ここに住むという決意ではなくなっているのを感じます。子どもが12歳になるまでは「いったん埼玉」、ぐらいの意識で家を探している。もし中学受験をして東京に引っ越すとしても、それまでの住居費や生活費を抑えられれば、転居の資金も貯めやすいですよね。 小学校の立地を気にする人も多いです。共働きが当たり前になりましたが、子どもが小さいうちは親が学校に行く機会も多い。職場からそのまま学校に行くとか、学校経由で仕事に行くことを見越して、駅・小学校・自宅の距離が重視されています。 ――岡野さんも高校までは埼玉県内で過ごされました。ご自身の頃と比較して、教育環境について感じることはありますか? 僕は鴻巣市の中でものほほんとしたエリアで育ったので、中学受験の存在すら知りませんでした。それに比べると、県南は選択肢が多いと思います。昔から教育熱心な層はいましたが、やはり今のほうが熱いですね。 さいたま市には昔から、高砂小学校や常盤小学校などの人気公立校があります。また、浦和や大宮に治安が劣ると思われがちな川口市も、昔とは違います。川口駅からも近い幸町小学校は校舎もとてもきれいだし、やはり中学受験者の割合は増えているとか。クラスの3割ぐらいが中学受験する学校もあると聞きますし、場所によっては、東京都内より過熱しているエリアもあるようです。 ――学区だけでなく、学校を絞って家を決める人も多そうです。 そうですね。最近とくに熱いのは、2019年に設立されたさいたま市立大宮国際中等教育学校です。6年間通う中高一貫校ですが、家探しの一発目で「大宮国際はどうですか」と聞かれることもあるほどです。 また、反対に特定の学校を避けて家を選ぶ人も。似たようなことは各地で報じられていますが、例えば、さいたま新都心には1400戸を超える分譲マンション「シントシティ」ができ、近隣の小学校で急激に子どもが増えました。行政としては仮設のプレハブ校舎を作るなどの対応をしているようですが、「物件は素敵だけど、もう少しのんびりした学校に通わせたい」と別の学区を選ぶ人もいます。