定年を控えた50代男性です。収入が増えすぎると年金が半分になるって聞きました。自宅を売って得たお金も対象なのでしょうか?
定年を迎える前に収入が増えると年金が減る、という話を耳にした方も多いかもしれません。自宅を売却して得た利益が収入の対象となり、年金の減額につながるか気になるものです。 本記事では、自宅を売却して得た資金が年金支給額に与える影響について解説し、自宅を売却するメリット・デメリットについて紹介します。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
在職老齢年金制度とは?
在職老齢年金制度は、60歳以上で老齢厚生年金を受給しながら現役で働き続けている人を対象とした制度です。在職老齢年金制度により、一定以上の収入を得ている場合、受け取っている年金の一部またはすべてが支給停止となる場合があります。老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額(給与など)を合計した金額に応じて、年金の支給額が調整されます。 基本月額と総報酬月額相当額の合計が50万円以下(2024年度)であれば、年金は全額支給の対象です。一方で、合計金額が50万円を超える場合、超過分に対して年金の支給額が一部停止されます。計算方法は、「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2」です。 ■自宅売却による収入は対象にならない 在職老齢年金の減額対象となるのは、給与や賞与などの労働所得に限定されます。そのため、自宅を売却して得た収入は、年金の支給額に影響を与えることはありません。なぜなら、自宅の売却益は労働に伴う収入ではなく、資産の売却による一時的な収入に該当するためです。
老後に自宅を売却するメリット
定年を迎える前に自宅を売却すると、まとまった資金が手に入るため、老後の生活にゆとりをもたせられます。子どもが独立して夫婦2人の生活になる場合、広すぎる家をコンパクトな物件に住み替えることで、管理が簡単になり、光熱費などのコストを削減することも可能です。 また、自宅を手放すことで、固定資産税や都市計画税などの税負担から解放されます。特に土地の価値が高いエリアでは、生活に不便を感じる場合でも高額な税金の支払いが必要になることもあり、自宅を手放せば無駄な税金の支出を抑えられるでしょう。 また、定年後は通勤する必要がなくなるため、スーパーや病院、役所などが徒歩圏内にある場所やバリアフリー対応の家に移り住むなど、日常生活を楽にするための選択ができます。 なお、自宅のローンが残っている場合でも、売却代金でローンの完済が可能なケースもあります。住宅ローンの返済負担を軽減すれば、老後はより安心した生活が送れるようになるでしょう。