新型ロードスターRFも激変!!! マツダの良心はファンを裏切らない!!! 走りの進化に迫る
乗り味激変
それにしても、アシンメトリックLSDという駆動系部品を変えただけで、サスペンションやタイヤの働きまで変化したように感じられることは大きな驚き。その原理はソフトトップモデルのリポートでも簡単に紹介したが、それでも理解しがたいのは、LSDというクルマの水平方向の動きを制御するデバイスが、足まわりの動き方というクルマの上下動に作用を及ぼす点にある。 これについてマツダのエンジニアに訊ねたところ、一例としてこんな回答が得られた。 「後輪がギャップに乗り上げる際には、クルマの進行方向もしくはそれとは逆向きの力がタイヤに作用します。この力は、ディファレンシャルギアを介して反対側の後輪にも伝えられますが、その向きは(ディファレンシャルギアの作用により)逆向きになり、クルマ全体としては水平方向によじれるような動きとなります。アシンメトリックLSDは、減速時を中心としてリヤ左右輪の締結力を強めるので、このよじれる力を抑えることに役立ち、結果的にギャップを乗り越える際のタイヤの接地性を改善することにつながります」 ちょっと難しい説明だけれど、エンジニアがいいたいことはわからなくもない。 なお、従来型のロードスターに搭載されていたスーパーLSDは、自動車部品のサプライヤーであるGKNとマツダが共同開発したもので、“スーパー”の名はLSDとしての動作が優れていることと「スーパーマーケットでも買えるほどコストが低廉」なことからつけられたらしい。 そして新型に搭載されるアシンメトリックLSDもGKNとマツダの共同開発品だが、スーパーLSDとの違いは減速時と加速時で左右輪の締結力を変化させるカム機構を追加した点と、直進時などにもイニシャルの締結力を生み出す機構をコイルスプリングから円形の板バネに改めるなど、小変更に留まっている。このため、スーパーLSDとのコスト差もさほど大きくはないようだ。 いずれにしても、アシンメトリックLSDがロードスターのスポーツカーとしての資質をすっかり変えてしまったことだけは間違いないように思う。
文・大谷達也 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)