障害者への虐待、ちょっと多すぎない?福祉施設では高齢者の7倍超の計算に…根底に「自分とは違うから」という差別意識か
ただ、高齢者でも認知症の人は今や600万人超いると推計される。認知症の人も虐待を受けるリスクは高い。だが、身体的に弱っている人も多いため、行動障害がある現役世代の知的障害者に比べると、施設の職員に与えるストレスは相対的に小さいと思われる。 職員の意識としても、高齢者や認知症の人に対しては「自分もいつかはこうなる」という共感を持ちやすい。知的障害の人を見て「自分もこうなるかも」と思う人は少ないだろう。「自分とは違う」という差別意識が根底にあるといえそうだ。 ▽取材を終えて 障害者施設の現場を取材していると、「自分は絶対、虐待なんてしない」とは思えない。激しい行動障害がある人の支援をしていれば、職員がけがをするのは日常茶飯事。人手不足や人間関係の悪さなどが重なり、精神的にしんどくなれば、誰だって言動が荒れるだろう。 軽微な段階で職員が「やってしまった」ということを周りに相談でき、早期に虐待の芽を摘んでいく職場環境やトップの理念が必要だと思う。