岡崎慎司、現役ラスト試合で両チーム選手が作った花道「後悔はない…いや後悔しかない」指導者目指す次のステージへ
◇ベルギー1部・プレーオフ2 第39節 シントトロイデン1―1ルーベン(17日・シントトロイデン) 【写真】チームメートに胴上げされるシントトロイデンの岡崎 サッカーベルギー1部・シントトロイデンの元日本代表FW岡崎慎司(38)が、現役ラストマッチに出場した。ホーム最終戦となった17日の中位プレーオフ・ルーベン戦で今季初の先発出場を果たし、後半7分までプレー。ゴールは奪えなかったが、交代時には両チームの選手たちが作った花道で送り出された。引退後は指導者を目指す意向も示した岡崎は、6月に都内で引退会見を行う予定。 仲間たちに囲まれ、その時を迎えた。後半7分。背番号30の交代ボードが示された。岡崎のために、シントトロイデン、そしてルーベンの全ての選手たちが花道を作った。もみくちゃにされ、笑顔を浮かべながら、送り出された。泥臭くピッチを駆けた約20年の現役生活。最後は美しい光景に包まれ、ピッチに別れを告げた。 この日は両チームで計7人の日本人選手が先発。岡崎が最初にドイツへ渡った11年には考えられなかった光景だ。「若い選手たちをプレーで引っ張れない悔しさを感じ、それは引退を決意する一つの要因だった。一緒に最後を迎えたのは運命なのかな。本当にいい終わり方だった」。欧州4か国でプレーし、日本人選手の価値を高め続けてきた。自らに続く選手たちに見送られた最後を「幸せですね」と振り返った。 今季は引退理由となった膝の負傷に苦しみ「今日まで頑張ると決めていた。でも膝がマジで痛いんで。だから自分の中で、この試合で終わると決めた」。最後まで懸命に走ったが、現役最後のゴールは奪えなかった。「後悔はない。ないというか…、いや後悔しかない。(これ以上)上に行けない、悔しい気持ちばかり残っている。もっと上に行けるようなプレーはできていないと思えたし、はっきり終わりだなって」。プロ入り時は清水で7番手のFWだったが、努力と向上心ではい上がり、日本屈指のストライカーとなった。しかし38歳で選手としての限界を悟り、満足と悔恨、両方の感情に包まれた。 引退後は指導者を目指す意向で「選手ではたどり着けなかったところに、次のキャリアでたどり着きたい」と語った。選手としてはドイツで2ケタ得点、イングランドではリーグ優勝も果たしたが、指導者として目指すべき場所はさらに上だ。武骨で飾らない姿から「サムライ」とも呼ばれた名FWが、新たなステージへと踏み出す。 ◆岡崎に聞く ―今までで一番のゴールは。 「日本代表で(10年)南アフリカW杯に行くゴール(09年6月6日・アジア最終予選ウズベキスタン戦)。それがあったからこそ、こうやって欧州にずっといるような選手になれたのかな」 ―Jに戻らず、ベルギーで引退の理由は。 「一番の理由はけが。膝がすごい痛い。もちろんけがを治して日本でやるという選択肢も、なくはないと思うんですけど、日本でこのけががまた出てきた時に、この苦しいモチベーションの中でサッカーできるのか。それと若い選手がこれから上がっていこうという中で、自分じゃ上に行けないなと改めて思ってしまった」 ―(指導者として)どんなチームを作りたいか。 「ゼロからのスタート。指導者の道にはすごく興味がある。自分自身がプレーヤーとしてやってきて、理不尽なこともあるけれど、それでも上に行きたい選手たちを指導したい。そういう選手たちをさらに成長させていくような指導者になるのが一番いい」 ◆岡崎 慎司(おかざき・しんじ)1986年4月16日、兵庫県生まれ。38歳。滝川二高から05年にJ1清水入り。11年にドイツ1部シュツットガルト移籍。13年夏に移籍した同マインツでは2季連続2ケタ得点。15年夏に英プレミアリーグのレスターに移籍し、15~16年シーズンのリーグ制覇に貢献。19年夏にスペイン2部ウエスカに加入し、1部昇格に貢献。21年夏から同2部カルタヘナ、22年夏にベルギー1部シントトロイデンに加入。日本代表では国際Aマッチ歴代5位の通算119試合、同3位の50得点。174センチ、76キロ。
報知新聞社