真夏を過ぎても食中毒!?「3日目のカレー」に潜む「加熱しても死なない菌」は秋も注意→感染者が語る「地獄の3日間」
甘く見てはダメ!子どもや高齢者は重症化することも
Yoshiichi Ouchiさんが感染した可能性があるウエルシュ菌食中毒とは、「ウエルシュ菌がヒトの腸管内で増殖し、芽胞を形成する時に産生されるエンテロトキシン(腸管毒)によって起こります (※3)」とのこと。さらには「ウエルシュ菌は5種類に分類され、ヒトや動物の腸管内、土壌、下水、食品など自然界に広く存在します。自然界に分布するウエルシュ菌は、100℃数分で死滅するものが多いのですが、食中毒は主に耐熱性芽胞(100℃で1~6時間でも生残)を形成する菌によって引き起こされます(※3)」 また、ウエルシュ菌食中毒の原因食品としては、先述したようにカレー、シチュー、及びパーティー・旅館での複合調理食品によるものが多く、特に食肉、魚介類及び野菜類を使用した煮物や大量調理食品で多くみられます。これらの食品中では、加熱調理後、そのまま放置することによって、ウエルシュ菌が増殖します(※3)
感染防止にはここに気をつけて!
町田予防研究所『【大量調理は危険!?】ウエルシュ菌食中毒の特徴と予防方法4つ』によると、「ウエルシュ菌は自然界に広く存在しているため、ウエルシュ菌の食材の汚染を防ぐことは難しく、加熱により芽胞を形成したウエルシュ菌を死滅させることも難しいため、“いかに菌の増殖を抑制するか”が重要なポイントとなります(※2)」とのことです。 ①「喫食までの時間を短くする」 前日調理は避け、加熱調理したものは喫食までの時間をなるべく短くする工夫をしましょう。 ②「加熱調理後に速やかに10℃以下に冷却するか、55℃以上で保管する」 耐熱性のウエルシュ菌は芽胞を形成して生き残り、加熱調理後50℃程度にまで下がると芽胞が発芽を始め、43~45℃になると最もよく増殖するため、20℃から50℃の温度域を速やかに通過させ、10℃以下に冷却することが望まれます。また、冷却できない場合には55℃以上で保管しましょう。これにより菌の増殖を抑制できます。 ③「よく混ぜながら調理する」 よくかき混ぜながら調理を行うことで満遍なく熱をいきわたらせ、確実に栄養型の菌をやっつけましょう。 ④「調理後の食材は小分けにして保存する」 調理後の食品は底の浅い容器に小分けにすることで中心部まで素早く冷却できます。そのまま冷蔵庫など、低温で管理された場所で保管しましょう。 (出典:すべて町田予防研究所『【大量調理は危険!?】ウエルシュ菌食中毒の特徴と予防方法4つ』) 以上のことから、食中毒を防ぐには「加熱すれば菌は必ず死滅する」という誤った理解を正す必要があります。食中毒は真夏の外気温だけの問題ではなく、調理したあとの処置方法が大切です。できるだけ菌を食品につけないようにし、さらに増やさないようにすることで、感染を予防するよう心がけてください。カレーやシチューだけでなく、お弁当やテイクアウト品にもご注意を! 【参考資料】 (※1) 厚生労働省【身近な危険 食中毒_細菌:黄色ぶどう球菌・ウエルシュ菌】 (※2) 町田予防研究所【【大量調理は危険!?】ウエルシュ菌食中毒の特徴と予防方法4つ】 (※3) 厚生労働省【ウェルシュ菌食中毒】 (まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・東寺 月子)
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