「博士号=オタク・分厚い眼鏡・コミュ障」は間違い! “不遇の博士”の出口を探る
とはいえ、「博士の数を2020年度比で3倍にする」という目標は現実的なのだろうか? 西田氏は「博士取得者を増やすことには賛成。博士が社会で活躍できる環境を整える必要性にも賛成だが、文科省が提案してる計画には2つの大きな懸念がある」と指摘した。 「まず、量的拡大については野心的すぎる。増加している韓国やイギリスも20年で2倍程度という中、2040年までの20年間に3倍はよほど大胆な取り組みが必要だ。その覚悟があるのか。日本の博士人材が増えないボトルネックは『博士号を育てたことがある研究者の数が少ないこと』でもある。現状、そうした人材は一部の国立大学の有力研究室に集中している。もう一点、実はこうした博士号人材を増やそうという取り組みは2000年頃にも大学院重点化として行なわれた。学位を持っている人を増やそうと大学院の定員を増やしたのだが、その結果、就職先がないという壁に直面した。そうした人たちが団塊ジュニア世代に多くいて、このことがそもそも学生が博士課程に進むことに躊躇するそもそもの原因の一つになっている。出口を定めない安易かつ急な博士の量的増加策は極めて危なっかしい」 (『ABEMAヒルズ』より)