「麻生が石破を許す」タイミング到来を警戒する岸田官邸の不徳
元々は弱小派閥の一員
安倍氏が政権を奪還した2012年以降、麻生氏は副総理兼財務相として政権を支え、主流派として振舞い続けた。 「元々は弱小派閥の一員だった麻生氏は徐々に力をつけ、少し前までは党内第2派閥を構成するまでに勢力を拡大しました。その後に派閥は解消されたとはいえ、麻生派は活動を継続しています。麻生氏は今年84歳を迎えることもあって、政治生活の最終盤を迎えているタイミングで非主流派に転落するわけにはいかないという思いはかなり強いとされていますね」(同) 政権の支持率が安定している間は、岸田首相を支持すれば良かったのだが、支持率が低迷し始めるとそうもいかなくなった。首相に代わる「勝てる候補」を模索する日々が始まった。 「共に主流派を形成してきた茂木敏充幹事長は首相への意欲を隠さないのですが、世間的にも党内的にも支持が拡大せず、麻生氏としてもなかなか乗りづらい。ならば次善の候補を推したいところなのですが、いないわけではないものの好適な人物がいないのが本音でしょう」
関係修復はあるか
そこで持ち上がってきたのが、犬猿の仲とされる石破氏との関係修復だ。 「可能性は限りなくゼロに近いと見られていますが、麻生氏が乗れる手持ちの候補が総裁選に勝てないとなると、それ以外の候補を探さざるを得ないのではとの指摘があります。キングメーカーとしての戦いに敗れて非主流派になるよりは、石破氏と関係を修復して総裁選に臨む道を選ぶのではないかとの見方があるわけです。その場合にはもう1人のキングメーカーである菅義偉前首相と共に石破氏を推薦する可能性が高くなるわけですが」(同) そういった麻生氏の動きを最も警戒しているのが岸田首相なのだという。 「麻生氏が自分以外の候補を推してしまえば再選の道が事実上、閉ざされますから首相も麻生氏の引き留めに必死のようです。その支持を固められれば、有隣会(旧谷垣グループ)、茂木派、安倍派の一部、来年に改選を迎えない参院議員と支持を拡大できるかもしれず、総裁選での勝機が見えてくるというわけです」(同) 皮肉なのは、結局、岸田首相自身が解散したはずの派閥単位で物事が進んでいる現実だろう。世論がおきざりにされていると言われても仕方ないのかもしれない。
デイリー新潮編集部
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