「金ピカ霊柩車」が日本で絶滅の危機→意外な国で「走る寺」「宮殿のような車」と大歓迎のワケ
● 死を連想させて「縁起が悪い」!? 宮型霊柩車が消えつつある理由 その最大の理由は、火葬場が宮型霊柩車の入場を禁止し始めたことです。全霊協が2016年に調べたところ、当時すでに全国で150以上の火葬場が宮型霊柩車の入場を禁止していたとのこと。今はさらに増えているでしょう。ご遺体が納められていることが分かりやすく、目にした近隣住民の心理的負担になるほか、死を連想させて「縁起が悪い」という声があったことが入場禁止の要因になっているようです。 近隣住民側からすると、一目見ただけでは霊柩車だと分かりにくい「洋型」や「バン型」の方が、心の負担が少ないということなのでしょう。 また、「葬儀に関する相談」を受けている某企業によると、霊柩車を利用するご遺族側にも「目立ちたくない」という思いが強くなってきているとのこと。日本人の葬儀に対する価値観も変化し、時間やお金をかけず、近親者だけで「家族葬」などを執り行うご遺族も増えてきました。その中で、利用する際の費用が高い宮型霊柩車は需要が大きく減っているのです。 ですが、宮型霊柩車は豪華な見た目のとおり、伝統的な装飾を美しく保つための維持費が高額になります。霊柩車の貸し出しや運行を手掛ける葬祭会社としても、需要が減っている宮型霊柩車に高額なコストをかけて維持するのは厳しいのが現実です。このことも、宮型霊柩車が減少している一因です。 ● 法規制も相まって 「目立たなさ」が主流に 宮型霊柩車が減っている理由は他にもあります。それは法規制です。 まずは2001年に、道路運送車両の保安基準改定によって、外形突起物が厳しく規制されました。そして事故防止などの観点から、乗用車や小型貨物車には「ハイマウントストップランプ(補助制動灯)」の設置が義務付けられました(※)。このランプはクルマ後部の「高い位置」に装着しなければなりません。 ※乗用車の義務化は2006年、小型貨物車の義務化は2010年 こうした規制があると、「クルマの上部に豪華な装飾がある」という、宮型霊柩車の伝統的なスタイルを維持することが難しくなります。このことも、宮型霊柩車の減少を加速させる要因となっているのです。 そんな宮型霊柩車に取って代わりつつあるのが、リムジンをベースにした洋型霊柩車や、ご遺体とご遺族が一緒に移動できるバス型の霊柩車です。いずれも宮型と違い、煌びやかな装飾がないため、あまり目立ちません。