日本に生まれても外国籍なら犯罪者予備軍?…ホテルが求める法的根拠ない要請「在留カードを提示して」 香川県は「人権上問題がある」と通達
▽身分確認はテロ対策? ここまではっきり書かれているのに、なぜホテル側は法的根拠のない身分確認を続けているのか。 「テロ対策だという警察の指導だった」 香川県内のあるホテルで働くベテランの男性従業員が証言してくれた。 この従業員によると、香川県警から「テロが起きたときに後から確認する事項がある」と要請があった。このため、勤務先のホテルは、宿泊者名簿に書かれた名前から、外国人の可能性がある宿泊客に対し、在留カードの提示とコピーを要求。たびたび宿泊客とトラブルになり、「(提示要求を)やめられるならやめたかった」と打ち明ける。 この話が本当であれば、ホテルは宿泊客と警察の間で板挟みになっていることになる。男性従業員は今回の香川県の対応を歓迎しているが、それで解決したわけではなかった。 香川県警の担当者は通達後もホテルに「拒否された場合に提示は必要ないが、(提示の)声かけは必ずしてほしい」と改めて求めたという。
証言してくれた従業員は納得がいかない。「そもそも断っていいことなら、最初から聞く必要はないのではないか。根本的な解決になっていない」 ▽食い違う証言 そこで香川県警公安課に取材したところ、明確に否定された。「在日外国人の身分確認はホテル側の裁量。われわれから何か協力を要請している事実はない」 公安課の担当者の説明によると、宿泊施設側に旅券確認を要請するのは「国内に住所のない外国人宿泊者に対してのみ」。旅館業法に書かれている内容と同じだ。 加えて、香川県警がホテルなどに配布している「旅館業者の皆様へ」と題した文書にも、こう書かれている。 「テロ等の犯罪を未然に防止するため、宿泊者名簿への正確な記載をお願いいたします」 「日本国内に住所を有しない外国人宿泊者の方には、旅券を確認して、写しの保存をお願いします」 国内居住の外国人に対しては、氏名、住所、職業の記載だけでよいと明示されている。