<#わたしの新庄・3回目のセンバツへ>/1 みんなの心一つに 宇多村聡監督(34) /広島
「みんなの心一つに」 就任1年目でセンバツへの切符を手にした若き指揮官の信条だ。母校の広島商では捕手を担い、2004年夏の甲子園に出場した。互いに支え合うことで大舞台をたぐり寄せた当時の経験から培われた信条が、率いるチームにも浸透している。 ずば抜けた高校球児ではなかった。2年生だった03年秋、新チーム発足時に背番号をもらえなかった。「ベンチ入りぐらいできると高をくくっていた」。ただ、腐らなかった。当時の広島商監督で、のちに広島新庄でも采配を振った迫田守昭さん(75)やOBらに指導を仰ぎ、誰よりも練習し、04年夏の甲子園では先発マスクをかぶった。スタンドに陣取った大応援団の声援を受けて安打も放った。 「自分一人の力には限りがあるが、グラウンドやベンチ、スタンド、みんなの心を一つにすれば無限の力となる」 一丸となって勝利を目指す。その胸に刻む信条はチームにも波及した。昨夏の新チーム発足後は練習中も声をかけて励まし合い、公式戦10試合を含む39試合を全勝した。初優勝を決めた秋季中国地区大会では投手陣を軸とした堅守で、決勝までの3試合を全て1点差で制している。 センバツに向け、チームメートや指導者のみならず、地域や学校のサポートは欠かせない。「多くの方から支えられて野球ができることに感謝し、甲子園でも普段通りの力を発揮できるよう、しっかり準備したい」。心一つに掲げる目標は優勝だ。【中島昭浩】=つづく × × 広島新庄が、2年連続3回目となる第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)への出場を決めた。3月19日に開幕するのを前に、監督や選手らに「信条」を尋ねた。随時掲載。