日本の税収を減らす『免税の悪用』が横行!元国税調査官に聞く免税品転売の手口とは? ジャーナリスト立岩陽一郎氏は「店側の善悪ではなく制度の議論をすべき」と指摘
出国時には「抜き打ち調査」 免税の不正チェック
―――今回、追徴課税を受けたダイコクドラッグはそのような意図はなかったということですが、お店側が“グル”になるケースもあるようです。そして、免税の不正のチェックは、買い物の時点と出国の時点の2つで行われています。まず、買い物の時点では販売店から税関の「電子税関システム」に送信されるということですが、この電子税関システムとは? (笹圭吾さん)「新しく導入されて、買い物された段階でスキャンしてそのデータが行くっていう。それで国税庁と税関が管理しているサーバーに入ると。パスポートと紐づくということですね。だから税関でそのデータと実際に物を開けたときに、入ってるかどうかチェックを入れるという状況です」 ―――今、説明があったのが出国の時点のチェックですね。この時、税関で過去のデータなどに基づいて「抜き打ち調査」をするということですね? (笹圭吾さん)「そうです。(時間の関係もあり)全部ができるわけじゃないっていうのがあるので、過去の実績から考えてあやしそうな人、例えばスーツケースを何個も持っているとか、大量だなとか、この人は事業者じゃないなとか、いろんな知見がたまっていってるので、それのパターンでいくみたいな。抜き打ち調査で引っかかった場合は、その時点で課税の書類を書いてもらって消費税を納税してもらいます」
家電量販店などでも“免税”めぐる追徴課税 制度の見直し検討も
―――2022年度に日本国内で免税で購入された額は約6000億円です。免税された消費税は、全部10%だったとすると単純計算で約600億円になります。この中で納められるべき消費税が納められていないとすると大問題ですよね? (笹圭吾さん)「直近のデータで国税局が摘発した脱税額で563億円というのが出ているんですよ。これは1年間だけではなくて数年間の実績で563億円。直近データで言ったら結構な金額。免税でそういう不正が働かれていると」
これまでに家電量販店や百貨店でも「転売目的」などの指摘で国税庁が追徴課税しています。エディオンでは約1億7000万円(※2022年3月までの4年間)、近鉄百貨店で約8億円(※2022年2月までの4年間)、阪急・阪神百貨店で約2億円(※2022年3月までの3年間)の追徴課税がされたということです。