日本の税収を減らす『免税の悪用』が横行!元国税調査官に聞く免税品転売の手口とは? ジャーナリスト立岩陽一郎氏は「店側の善悪ではなく制度の議論をすべき」と指摘
「海外で転売」のケースと「日本で転売」のケース
―――免税品の転売はなぜ利益が出るのか。例えば、税抜き1000円のものを購入する時、消費税10%の商品の場合、免税されない人は1100円を支払いますが、免税される人は1000円なので100円“得”。こういう構図ですね? (笹圭吾さん)「そうです。消費税の課税の仕方っていうのが、いったんもらった消費税と払った消費税、この差額を納めるということを事業者がやっているんですね。この売り上げに関しては、海外に販売したときに、売り上げの中に消費税がもらえていない状態だから免税っていう形になっているんですね。国内で消費されないものについては免税取引されるので、結果的に海外に売ったのと同じような形になるから100円お得に買えるということですね」 ―――そして笹さんによりますと、転売のパターンはさまざまだそうです。転売を主導する人には、海外在住者、そして国内に住んでいる人もいるということです。そして転売する場所は海外に持ち出して転売する場合と、日本国内で転売するパターンもあるんですね? (笹圭吾さん)「限定すると良くないかもしれないですけど、多いのが中国の方で、『買い子さん』というのを雇って何%かの手数料を渡し、その後、商品をもらって国内に売るとか国外に売るとかいろんなことをしているという。日本国内で転売するケースは10%分の利益を狙いに行くっていうパターンですよね。海外に持ち出す場合は、架空の取り引きも結構あったりするんですね。持っていったふうにするっていう。そもそも転売の仕入れのときにもドラッグストアと通謀して、仕入れたふうにする、書類のやり取りだけするパターンもあるんです。実際には仕入れておらず、紙だけが動いている状態。実際、何かしら数量は入れとかないといけないので10個入れて100個送ったことにするとか、そういうようなことが過去に結構起こっていたんです。それを取り締まってきたのが今までの歴史的な背景で、割と制限をかけながらやっているのが現状」