アディダスを出し抜き、 ナイキ がドイツ男子サッカー代表の顔に。加熱するブランドのアスリートやスポーツチームへの投資
3月21日、大手スポーツ用品メーカーのナイキ(Nike)は、最大のライバルであるアディダス(Adidas)に対する大勝利を宣言した。77年ものあいだ、ドイツ男子サッカー代表チームの公式スポンサーはアディダスが務め、同社がユニフォームサプライヤーとしてきたが、2027年からナイキがライセンスを引き継ぐことになったという。 このスポンサーの変更は、いくつかの理由から重要といえる。まずドイツは、世界でもっとも人気のあるスポーツにおいて、もっとも多くの賞を獲得しているチームのひとつだという点だ。ワールドカップでの優勝回数はブラジルに次ぐ2番目で、イタリアと同じである。決勝進出回数はもっとも多い。しかも、バイエルン州に本拠を置くアディダスのホームチームでもある。 アディダスにとって、この決定は「寝耳に水だった」と伝えられている。ドイツの新聞ハンデルスブラット(Handelsblatt)によると、ナイキはスポンサー料としてアディダスの2倍となる1億ドル(約151億円)以上を支払ったとのことだ。
2027年から7年間、ナイキはドイツのユニフォームサプライヤーに
チームやアスリートのスポンサーになることは、これまでずっとスポーツウェア会社にとっての経済的恩恵であり誇りでもあった。それゆえ、スポーツの人気が高まるにつれ、マーチマッドネス(March Madness)、ニューヨークシティマラソン、パリ夏季オリンピックなどのイベントも、より大きなブランドの戦場になりつつある。サッカーに至っては、ある推定によると、視聴率が全人口の約40%だという。 ナイキがドイツとのパートナーシップを大きな勝利と考えているのは間違いない。2027年から2034年までオリンピックやワールドカップなどの大きなイベントで、ドイツ代表チームは同社の商品を身につけることになる。ちなみに、2022年の夏季オリンピック視聴者数は20億人を超えている。ナイキは新しいパートナーシップについて直接コメントすることは拒んだが、CEOのジョン・ドナホー氏は声明で、新しいパートナーシップを「このうえないこと」と称している。 「当社は世界をリードするスポーツブランドであり、最大のスポーツブランドで、世界でもっとも人気のあるスポーツであるサッカーのリーダーだ」とドナホー氏は述べ、こう続ける。「我々は女子サッカーへの協力や、早熟な選手との契約で、サッカーへの露出を拡大してきた。これらはすべて重要で、チームとしての素晴らしい努力の賜物であり、ナイキがベストを尽くせば誰にも負けないことを堂々と証明した」。