Ｕ－２３日本代表の浜野征哉ＧＫコーチ

　「パリ五輪・サッカー男子・１次リーグ、日本１－０マリ」（２７日、ボルドー競技場） 　１次リーグＤ組で日本はマリに１－０で勝ち、２連勝の勝ち点６で２大会連続の準々決勝進出を決めた。日本はＧＫ小久保玲央ブライアン（２３）＝シントトロイデン＝の好守などで無失点でしのぎ、終盤にＦＷ細谷真大（２２）＝柏）＝の右クロスから最後はＭＦ山本理仁（２２）＝シントトロイデン＝が先制した。同組のパラグアイはイスラエルを４－２で下して１勝１敗。第３戦（日本時間３１日）は日本－イスラエル、パラグアイ－マリが組まれている。　 　後半追加タイムにＰＫを献上した後、小久保が何度もベンチを見る姿が映っていた。指示を受け、自信に満ちた表情の小久保が右方向に飛ぶと、シュートは枠の右外へ。勝利を決定づけたこの瞬間は、今春に優勝したＵ－２３アジア杯決勝の景色と酷似していた。 　ベンチから指示を送るのは浜野征哉ＧＫコーチ。徹底したスカウティングで、相手選手がＰＫで蹴る方向の傾向を必ず確認し選手に共有する。５月のＵ－２３アジア杯決勝でも１－０の試合終了間際、ＰＫの場面で小久保に指示を送りビッグセーブにつなげた。 　浜野コーチはどんな試合でも決して準備を怠らない。きっかけは、１８年ロシアＷ杯の苦い経験だったという。決勝トーナメント１回戦のベルギー戦、２－２の試合終了間際。ＭＦ本田のＣＫが相手ＧＫクルトワにキャッチされてから「ロストフの１４秒」と呼ばれる超高速カウンターを食らい、ベスト１６で散った。ベンチから見た一瞬の出来事は今でも浜野コーチの脳裏に焼き付いている。 　「相手キーパーにブロックに必ず行きなさいと言っていたら…延長、ＰＫ、もしかしたらベスト８にもなっていたかもしれない」。この後悔を二度と繰り返さない。強い思いで大岩監督らとより入念に準備を行ってきた。 　今年５２歳を迎える浜野コーチ。今も１カ月で約２００～３００キロを走り、体脂肪率は３％をキープ。「できる限りやめたい」と笑うが「人に厳しく、自分にはもっと厳しく」をモットーに引退後もトレーニングを続けている。そんなストイックな姿勢が選手の信頼につながっているのかもしれない。 　◆浜野征哉（はまの・ゆきや）１９７２年９月２８日、神奈川県出身。桐光学園高校から９１年にジュビロ磐田の前身となるヤマハ発動機サッカー部に入団。その後、新潟や本田技研工業サッカー部でもプレーした。引退後は本田技研、ＦＣ東京でコーチを務め、１２年からは世代別日本代表のＧＫコーチを担当。１４年からＡ代表の日本代表ＧＫコーチを務め、１８年ロシアＷ杯を経験した。その後浦和を経て、２２年から大岩剛監督率いるパリ五輪世代のＧＫコーチを務める。