自信を失う“ほめ方”とは...多くの人がやっている、実績だけ見た自己評価
カウンセラーとして33年、スクールカウンセラーとして18年の経験があり、また長年モラルハラスメント問題に力を入れて取り組んできた谷本惠美さんは、「自分の心を守る方法について、なにも知らない無防備な状態でいると、どうしても傷ついたり、落ちこんだりしやすい時代に私たちは生きている」と言います。 【画像】「不安の度合い」の3つの分類 悩みを抱えがちな編集者Kが「自分のほめ方」について聞きます。 ※本稿は、谷本惠美著『13歳からの自分の心を守る練習』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。
自分をほめるときに、やってしまいがちな失敗
【K】前回、谷本さんに「自分をほめてあげられるといいかもしれませんね」と言われたのでやってみましたが、なんだか恥ずかしいし、難しいですね......。 【谷本】実際にやってくださったんですね。どんなふうに自分をほめてみたんですか? 【K】過去に人から「すごい」と言われたことを思い出したり、人と比べて自分のほうがすぐれているところを探してみたり......。でも、人から絶賛された経験なんて一度もないし、胸を張って「これだ!」と誇れる長所も思いつかなくて。自分をほめるつもりが、なにもないという事実をつきつけられたようで、かえって落ちこみました。 【谷本】自分をほめようと思っても、そんなところは一つもないと? 【K】はい......。 【谷本】そんなふうに考えてしまうのは、Kさんだけじゃないんですよ。多くの人は、いざ自分のことをほめようとすると、「一般的な」ほめ方しか思いつかないんです。 【K】一般的なほめ方......? 【谷本】前回、少しお話しした「数字」や「結果」だけに注目するほめ方ですね。「かけっこで一等賞をとった」とか「偏差値の高い高校に合格した」とか「会社で出世して部長になった」といった、目標を達成したり、わかりやすい実績があったり、人から「すごい」と言われたり、といったことだけに目を向けるほめ方です。 【K】うう......。私がやったのは、まさにそれですね......。 【谷本】私たちは小さなころから、いろいろな場面で、数字や結果で評価されてきたので、いざ自分をほめようとすると、そうなるのも仕方ないと思います。