センバツ高校野球 青森山田、8強進出 2戦連続サヨナラ /青森
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)は大会第8日の27日、東北勢で唯一残った青森山田(青森)が強豪、広陵(広島)と対戦。2度のリードを許しながらも粘りで追いつき、6―5で初戦に続きサヨナラ勝ちを収めた。八回に2点を先行され、九回も3点を勝ち越されたが、長打や好走塁でいずれも直後に同点とし、延長十回タイブレークの末、犠飛で接戦を制した。次戦は大会第9日の28日、第3試合で中央学院(千葉)と、ベスト4をかけて対戦する。【江沢雄志、藤倉聡子】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 勝ち越されながらも挽回し、1回戦に続きサヨナラ勝ちを収めた。チームの信条である「しつこく諦めない野球」を目の当たりにした保護者からは感嘆の声が漏れた。 この日は広陵のエース高尾響を相手に七回まで打線が沈黙。一方、先発・桜田朔はたびたび走者を背負いながら要所を締めた。父博さん(47)は「制球に苦しんだが、無失点で抑えた。100点」と笑顔を見せた。 五回途中で継投した関浩一郎も気迫の投球で七回まで無失点。主将で捕手の橋場公祐は「いつも冷静な関がマウンドでほえた。ボールにも強い気持ちが出ていた」と話す。 八回表、関が相手打線に捕まり2点を先行された。しかし、その裏に蝦名翔人がこの日チーム初安打を放ち、四球と対馬陸翔の右前打で試合を振り出しに戻した。 九回も相手の上位打線に3点を奪われた。しかし、その裏の1死満塁で佐藤隆樹が3点適時三塁打を放ち、延長戦に持ち込んだ。 延長タイブレーク十回、相手の攻撃を無失点で切り抜けると、最後は4番・原田純希の犠飛で決着をつけた。守備でも、菊池伊真や対馬が要所で好捕を見せ、投手陣を支えた。 チームの最高成績は夏でのベスト8だが、甲子園で初の4強入りを目指す。橋場は「守備からリズムを作る自分たちの野球が強豪相手にも通用した。歴史を変えたい」と語った。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇小柄でも強い打球を 青森山田 対馬陸翔中堅手(3年) 4打数無安打で終わった初戦の京都国際戦とは打って変わって、この日は2安打2打点、終盤の好捕と「走攻守」にわたり大車輪の活躍を見せた。試合前、兜森崇朗監督がチームの「キーマン」として名前を挙げたが、その期待に応えた。 今大会から導入された低反発の金属バットを大半の選手が使用する中、普段から練習で使い「扱いやすい」ことから木製バットを使用する。この日は普段より20グラム軽いバットに替えて臨んだ。雨天による2日間の順延の間に「しっかり振れる(軽めの)バットで練習から感覚を見直せた」と手応えをつかんだ。 2点を先制された八回裏には1死満塁で適時打を放ち、同点に追いついた。延長タイブレーク十回も先頭打者でセーフティーバントを決めた。 身長168センチ。ベンチメンバーの中では2番目に小柄だが、俊足もあって、不動の中堅手だ。青森山田中の硬式野球部「青森山田リトルシニア」が全国大会を制した際には、MVPに選ばれた。 一番の持ち味はしなやかなスイング。それを生み出す体幹はいとこに影響されて中学まで習っていたトランポリン競技で培われた。 憧れは、レッドソックスで活躍する吉田正尚選手。次戦も「小柄ながら強い打球を飛ばす」クリーンアップの一角として、チームの勝利に貢献するつもりだ。【江沢雄志】